英雄達の最終楽章(ヒーローズ・フィナーレ)
〜イリスの英雄〜



それぞれのエンディング




長かった物語が、今終わりを迎えました。

戦いを終えた三人の英雄。

日常に帰って行った彼らをほんの少しだけ、覗いて見ましょう。



カイ・サイトニン
「守護者の後継」




あの戦いから一ヶ月後。

街はようやく平静を取り戻しつつあった。



GM  君は今、ジェスタ神殿の控え室に居る。この部屋はこれから君の部屋になる場所だ。



部屋の中にはカイとレン。

そして、傷だらけの古ぼけた鎧がおいてある。



GM  レン「おいっ!早いところ準備しろよっ!みんな訓練場で待ってるんだぜ?」

カイ  「ん?ああ、今行く。ちょっと待ってな」

GM  レン「にしても……折角、神官になったんだから。祝いの品、もうちょっと良い物貰えばよかったのに」古ぼけた鎧を指差してます。



あの日ジェスタ神殿に神官の席が一つ、空いた。

その穴を埋める為、カイは入信者から神官となったのだ。



GM  レン「結局、修理や仕立て直しとかで。新品と同じくらいコストが掛かったっていう話じゃないか」



就任の祝いとして、神殿は彼に「欲しい物は無いか?」と問うた。

そして、カイは古ぼけた傷だらけの鎧を貰ったのである。



カイ  「……この鎧以上のもんなんて、俺には考えられないよ。なんたって、俺の命を、この街を守ってくれた鎧なんだからな」

GM  レン「そうは言っても……もうちょっと見栄えってもんが……」



何の銘も無い、鋼の鎧。

そう、この鎧は鋼壁と呼ばれた男が使っていたものだ。



GM  君達がそうやって会話をしていると、扉がノックされる。

カイ  「はは、俺はそういうのは気にしないタイプ……っと、どなたですか?」

GM  ジェスタ入信者「失礼しますっ!総員、訓練場に集合完了でありますっ!」

GM  レン「おっ?迎えが来たみたいだぜ。しっかりやんなよ」



カイ・サイトニン。

彼はもう神官だ。

当然、それなりの責任が発生している。



GM  ジェスタ入信者「本日も訓練の指導よろしくお願いしますっ!隊長殿っ!」……で、君は訓練場に引っ張っていかれるわけだ。

カイ  「……よし、全員気合を入れろよ!しっかりしごいてやる!!」



扉では真新しいネームプレートが揺れている。

ジェスタ戦士団、第一分隊、隊長室……カイ・サイトニン神官。



カイ  空を見上げてつぶやこう「……隊長、ご覧になれますか。この街が、人の声が。あなたが守りたかったもの、守ったものがここにあります。今度は俺がみんなを守っていきます。だから……安らかにお眠りください」

GM  レン「おーい、はやくしろよー!」と、引っ張られて、幕

イブン  英雄斯く有るべし

ユトル  託せるものがあるというのは、それを受け取ってくれる者がいるというのは素晴らしいな。



ユトル・バイカン
「取り戻した輝き」




一ヵ月後。

ユトルとシュナは家の前に立ち、それを眺めている。



GM  シュナ「おじいちゃん、ついに直ったね(眼をうるうるさせながら)」

ユトル  「さて、ようやくこれで仕事が再開できるな」



新生、バイカン工房。

工事終了……。



ユトル  「シュナよ、お前もそろそろ魔化の勉強をせねばならんぞ(実は凄い嬉しそう)」

GM  シュナ「そうだね。これで少しはのんびり出来……」



ずどどどどどど……。

感無量、といった感じで家を眺めている2人。

近付いてくる影が一つ。



ユトル  「ん?」

GM  クラップ「おめでとさぁぁぁぁぁんっ!!!」 



真っ黒なミュルーンがすっ飛んできた。



ユトル  「おぉ、ブラックウィング。その元気は全快したようじゃな」

GM  シュナ「クラップさん、こんにちは〜」

イブン  きっと、工房再建の贈花も、一番前においてくれとか言ってきていたに違いない。



最後の戦いで大怪我をした彼だったが、一ヶ月という時間は彼が回復するにも十分なものだったようだ。



GM  クラップ「これで、思う存分仕事ができるなぁ……まっとったでぇ……(翼をすり合わせながら)」

ユトル  「任せておけ、もう着手しておる。後半年はかかるがな」



彼が言っているのは、以前約束した暗視の眼鏡の事である……が。



GM  クラップ「アイテムなんか、ええねん。それより、その期間労働力提供してもらえた方がありがたい」

ユトル  「……は?」

GM  クラップ「……というわけで、仕事や。仕事。よろしく頼むで。ちゃーんと、了解の契約書類とサインだってあるんやから。申し開きは出来んで?」

ユトル  「やれやれ、ウィザードに歳は取れんな」

GM  シュナ「……(こそーっと逃げ出そうとしてます)」

GM  クラップ「ほれ、この書類。な、サインあるやろ?」

ユトル  「そうか…どれどれ」



差し出された書類を確認しようとして、ユトルは動きを止める。

そして、思い出したように片目を覆う眼帯に手を伸ばした。



ユトル  「ふむ、どうも慣れんな。今朝もこれを着けておったか(眼帯を外す)」



今まで見えなかったはずの目で。

彼は文字を確認する。



GM  よく見知った文字で君の名前が書いてある。君のサインではない。と

ユトル  「ところでシュナ、儂は眼が三つになってな(<ヴァルトニ>がシュナの前に姿を現す)」

GM  シュナ「……(びくっ)」



戦いが終わった後、彼はある魔術を習得した。

《再生》の魔術。

失われた身体部位を修復する高等魔術だ。

彼はもはや隻眼ではない。



GM  クラップ「おおっ!その目、ようやく再生が完了したんやなぁ……これで益々、働けるわけやな(うんうんとうなずいている)」

ユトル  「最早見通せんものはないのじゃよ。これはどういうことかな?(契約書とシュナを同時に見つつ)」

GM  シュナ「ごめんなさぁぁぁぁいっ!(逃げ出した)」

ユトル  「クラップ、これは儂のサインではないなぁ…あの馬鹿弟子を代わりに使ってくれ。ちょっと行ってひっ捕まえてくるわ!」

GM  クラップ「何言うとるんや?どっからどう見ても、爺さんの字や。よく見えるやろ?……さあ、仕事仕事って……おぉぉいっ!」



ユトルが呪文を唱える。

次の瞬間、彼の姿はその場から消え去っていた。



ユトル  「(シュナの眼前に出現)儂を出し抜こうなどと百年早いぞ!」

GM  シュナ「ふえぇぇぇぇっ!ごめんなさぁぁぁぁぁいっ!」



ユトルはシュナに手を伸ばし。



ユトル  「市井で修行してくるのもよかろう(普段しないような満面の笑みでぽんぽんと頭を叩く)」



……イリスの街は、今日も平和である。

穏やかで平穏な日常。

住み慣れた、街で弟子と暮らす。

本当に幸せな日常。

そんな中でユトルは不意に思う。



GM  君とシュナの関係は……君が葬った魔術師とイザベラの関係に同じだ。もしも、君が何かがあった時……シュナはどうするのだろう?と。

ユトル  「父と子、か…(空を見上げる)」



ユトルは思う。

シュナがあの女のように道を誤らぬよう……まだまだ、教えなくてはならないことがたくさんあるな、と。



ユトル  (それに……儂は痛感した。まだまだ、まだまだ儂自身、魔術の秘奥を見極めねばならん…)

GM  では、逃げていくシュナを見送って幕。



イブンサフ・レーベンクイール
「愛と米、そして落ち」




一ヵ月後。

イブンサフに一通の手紙が届いていた。

里からの手紙だ。



イブン  「ふむ・・・」何故か、城の屋根の上で読んでる

GM  内容は正式に君を緑の兄に任命するから一度戻って来い、というものだ。

イブン  「そうか・・・ふむ。丁度良いかも知れんな」



が、しかし。

今は彼が街中を歩き回るには非常に苦労する有様だ。



GM  街中を歩けば、なぜか、必ず……彼女と出くわすのだから不思議な話だ。

カイ  なぜか遭遇って(笑)

GM  実際には、手下の山賊こき使って君を監視しているから、なんだけどね。



イブン  「さて、お嬢は今日は何処に・・・・・・・む?」 是非、ミリアに吐きたい(そして担当部分を全うする)セリフがあったんだが・・・とりあえず静観

GM  で、まあ……城の屋上。ここが最近は君の安息の場所だったわけだが、ついにそれも失われるときが来た。寒気がするぞ。一刻も早くこの場所から逃げた方がいい、そんな気がした。

イブン  剣士の直感は重要。と言うことで、逃げる!



しかし、時すでに遅く。



GM  アナスタシア「うふふふふ……ダーリン、ついに見つけたよぉ、うふふふふ」 がっし、がっしと、壁をよじ登って登場するバケモノが一名(笑)

イブン  「・・・なんだ。は、ハニー・・・むう、呼びづらいな。何とかならんのか、これは」

GM  君を発見して、両手を広げてます。抱きつぶさんばかりの勢いで、腕を広げてますが。 ?

カイ  抱きつぶすって(笑)

GM  普通の人間なら、背骨が折れるくらいに抱きしめて差し上げますよ。

イブン  とりあえず、ベアハッグは避ける(笑)「すまんが、急用が出来てな。話は戻ってからにしてくれ。ではな」そのまま身を翻して、屋根伝いに脱兎!

GM  アナスタシア「逃がさないよ、だぁりぃぃぃん」



イブンは街の方に逃げ出した。

が、そこでも……。



GM  山賊「みつけたぞぉぉぉぉっ!」「なにぃっ!どこだぁぁぁっ!」「捕獲しろぉぉぉぉ!」



アナスタシアの手下達がわらわらと現れて追い回してくれる。



イブン  「・・・・・・毎日ご苦労だな。俺の修行に付き合ってくれるとは・・・だが、今は急がねばならん」

GM  しかーし、君は『不幸』にも追い詰められるわけだ。

ユトル  出た、不幸(笑)

イブン  ・・・不幸は、ここでも有効なのか?



だって、まだこのセッション中に発動させてないもの(笑)



GM  山賊「まあ、可哀そうだけど、しかたねぇやな……」「さあ、お頭をよんでこい」なぜか、今日に限って袋小路に追い詰められてしまいました。



じりじりと迫る山賊たち。



イブン  「む・・・段々を追撃の手が巧緻になってきたな。うかうかしてられんか・・・」

GM  で、そんな時に、ロープが一本足らされる。

GM  ミリア「こっちよっ、捕まんなさいっ!」 さあ、上りたければ登攀技能で判定しろ(笑)

イブン  「・・・ん?これは・・・」見上げよう

カイ  おお、ここで米が愛かが試されるのか(笑)

GM  これが、最後の判定だ(爆)

イブン  あんですとー?

GM  ミリア「……早くしなさいってばっ!」

イブン  やったらいでかっ!(コロコロ……)



愛と米、運命は果たして……。



イブン  だめだ・・・

GM  手がすべり、君は山賊たちの手の中へ。

カイ  ……米か(笑)

GM  山賊「よっしゃぁぁぁぁっ!」「つかまえたぞぉぉぉぉっ!」

GM  ミリア「……(無言で額を押さえています)」



最後の最後までお約束を裏切らない彼に盛大な拍手を!



GM  で、君は運び去られていくわけだ。では苦笑いを浮かべつつ、君を見送るミリアに一言どうぞ(笑)

イブン  「っく、ぅわ! 待て、お前ら! お嬢! 次の休みに俺の故郷へ一緒に帰って家族に紹か・・・!」運ばれていきましょう

GM  ……二人の間に、障害はまだまだたくさんありそうである。 イブンが運び去られたところで、幕(笑)



NPCたち
「それぞれの未来」




「シュナ」

ユトルの弟子として修行の日々。

最近の課題である魔術の実戦運用に苦労している。



「レン」

ジェスタ入信者として戦闘訓練に励む。

マジックアイテムのコレクションは全部処分したそうな。



「カイゼル・レーベンクイール」

新技を編み出す、と宣言して旅立ったきり行方不明。

イブンサフとの再戦はいつの日か?



「エルバルト・ダイム」

ガヤン高司祭として復帰……相変わらず怠惰な生活を送っている。

だが、最近は仕事だけはびしっとこなすようになったとか。



「ガッシュ・ラボル」

最後の戦いにて、悪魔と化した傭兵ジュダと刺し違える。

その戦いの場は、見た者を畏怖させるほどに凄まじい代物だった。



「狂獣のジュダ」

最後の戦いにて、悪魔化。

ガッシュと戦い滅び去った。



「クラップ・ブラックウイング」

トラブルコントラクター業を徐々に業務拡大中。

猫探しから悪魔退治まで、何でもこなすをもっとーに銭儲け。



「ミスター・ソード・ブレイカー(クラウジビッツ・クラーク)」

今回の騒ぎが収束した後、王都へと戻っていった。

相変わらず「異議あり!」と叫び続けている様子。



「赤蛇のジェイ」

今回の騒動で裏タマットが崩壊。

行く先を知るものは誰も居ない。



「アナスタシア」

山賊家業を廃業した様子。

イブンサフを追い回す毎日を送る。



「ドレック」

情報屋を廃業、イリスの街の一角で酒と料理の店を出す。

そこそこにはやっているらしい。



「ウィル」

父親のドレックが止めるのも聞かずジェスタに入信、戦士となるために身体を鍛えている。

素質はそこそこにあったらしく、将来が有望視されてる。



「キリュウ」

風の吹くまま、気の向くままに、ふらふらと旅を続ける。

もはや彼女を縛るものは何も無い。



「レクサール」

叙事詩、イリスの英雄を発表……意外なことに大人気らしい。

が、集まるのはサリカ神殿の子供達ばかりなのが悩みの種だとか。



「サヤ」

最後の戦いにて悪魔の謀略を知り、シャザックを止めようとした。

想い果たされず、死亡。



「シャザック・ベルゼリオン」

最後の戦いにて、悪魔に肉体を奪われた。

彼亡き後、情報部はアレイオスの手で解体された。



「イザベラ」

妖将ヴェール・ゼールにより黒き月へと送られた。

彼女の願いが叶ったかは誰にも分からない。



ユトル  アレイオス・イリスは戻ってきて領主に復帰?

イブン  あ、ヒューイは?

GM  彼らは……今は秘密だ。もしかしたらあるかもしれない次回に備えて、ね(笑)



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