花嫁の遁走曲(ミリステア・フーガ)
〜羽飾りを君に〜
終楽章





ラストステージへ




ヒューイとの戦闘終わって。

ラストステージへと突入前に相談する3人だが……。



カイ 早く行った方がいいんじゃない?もう時間ないと思うよ。

GM カイとの戦いで1度、ヒューイとの戦いで1度。時間稼ぎが2度入りましたなぁ(にやり)

イブン ヒューイ、本当に足止めしてると思う?……俺は、思わない(笑)

カイ え、いや、若干もう手遅れなんじゃないかと思ってたり……。



正解です。

式はそのままつつがなく執り行われていました。

というわけで、このままだときっぱりはっきり手遅れです。

式が遅れるような事件でも起きていれば、別ですが。



ユトル 戦闘で切り札を使わないのは正解だったかな。



アレイオスという男




時は少しだけ遡る。



ミリステアは、結局言葉を発する事はなく。

ただ、周囲を見渡して、一度だけ深々と頭を下げた。

そして、指輪の交換が行われる。

サリカ高司祭の言葉を受けて、新郎新婦が壇上に立つ。



ユトル ではその時、キリュウが!

GM 了解。

ユトル GMは好きなときに手助けしてもらえるって言ってたし。



今回、味方に付いたNPCの扱いはプレイヤーたちに決めてもらっている。

NPCたちは、好きな時に一度だけ手助けをしてくれるのだ。

今までに、エルバルトが「ガヤンの誓いを破棄」という形で。

クラップが「イブンの神殿侵入補助」という形で。

物語の裏側では、ドレックが「呪いの指輪に関する情報を領主に報告」していたり。

シュナが「結婚反対の住民運動」を行っていたりもする。

今ここで、キリュウがPCへと助力を行う。



GM ……キリュウはどう動く?お任せしますよ。

ユトル サリカ様になってもらおう(笑)

イブン 悪魔になったり、女神になったり、忙しいなキリュウ(笑)



キリュウの助力は「女神の幻覚を出して結婚式を邪魔する」というものになった。



GM サリカ高司祭「では、指輪の交換を行い、誓いの口付けを……」



そのときである。

突如広大な天井が輝きに包まれ、観衆を照らす。



GM 観衆「な、なにごとだ……!?」

GM アレイオス「……ほぅ、これは中々に凝った演出ですね。そう思いませんか」

GM エルバルト「いやー、そうですなー、はっはっは……(汗をぬぐいながら)」



上空から一人の見目麗しき女性が舞い降りる。

手には見事な意匠の施された扇。

右半身は白い肌、左半身は黒い肌である。

何処までも静かで、気高い。



GM 観衆「……サリカ神!?」

GM ガロード「ほぉ、サリカ様の祝福とはこれまた凝った演出」



そして、彼女は今しも生涯の契りを交わさんとする二人の前に降り立った。



GM ミリステア「……なによ、これ」

GM 会場の演出係「なんだよあれは!」「聞いていないぞ、あんなの!」「じゃあ、あれはなんだよ」



長く豊かに波打つ黒髪の中に、金色の一房がきらりと光り、人々を惹き付ける。

そこでようやく口を開くには…。



ユトル サリカ神「双子の月に導かれし汝ら、男と女よ」

GM 観衆「ざわざわ……」

ユトル サリカ神「(扇を掲げて白い肌を隠す)此の契りは祝福されぬ」

GM 観衆「なんだって!?」「いったいどうして……」

ユトル 「男の邪なる故に……彼の指環の脆き故に」

GM 観衆「指輪……?」

GM ガロード「な、何を、言っているの、かな……?」

ユトル そして、サリカ神は人々が生涯忘れえぬ素晴らしい舞を見せ、後にはただ静寂と共に青い燐光を残して消え……。

GM おおっと、ここらでダイスを振ってみようか?キリュウの完璧幻覚は技能値25だ。

ユトル ……出目が16、危な(汗)

GM 危ないねぇ(笑)

ユトル でも、成功度9。抵抗できる奴は居まい。



一般人の知力は10。

かなり高いものでも15ほど。

抵抗できるとしたら、クリティカル成功ぐらいしかない。

普通は抵抗できない数値。

……そう、普通なら。



GM では、こちらも抵抗を……サイコロの出目が……1、1、1のクリティカル。

イブン ちょ(笑)

カイ おーい!?



誰もがその存在を確かに感じ取れる、完璧な幻覚。

圧倒的な存在感に、人々はただただ驚いた。

誰も動けない。

ここに居るたった一人の例外を除いて。



GM アレイオス「そう言えば、この結婚式を阻もうとしているものがいるそうですね」

GM エルバルト「そ、そーいう噂も効きますなぁ、はっはは……」

GM アレイオス「……では、あれもまたその一環なのでしょうね」



アレイオスが席を立つ。

そして、サリカ神の演出がクライマックスを迎えようとしていた時。



GM アレイオス「渇っ!!」



……幻覚は打ち砕かれた。



GM 観衆「……今のはいったい?」「幻覚?」「何であんなものが」

ユトル ……まぁ、最低でも時間稼ぎになればいい。



会場はざわめきに包まれる。



GM アレイオス「皆様、静粛にお願いします……と、言っても無理なようですね」

GM エルバルト「ど、どーしますかなぁ?今の幻覚、賊が入っているのかもしれませんなぁ……」



エルバルトの呟きに周囲はいっそう混乱の度合いを深める。

この混乱は少々の事では収まりそうもない。

止むを得ない、と判断したアレイオスが指示を出す。



GM アレイオス「よろしい。ここは一度、休憩を挟んで仕切りなおしといきましょう」

GM エルバルト「で、ではそのように」

GM アレイオス「ああ、正面の大扉は避けてもらってください。理由は……絨毯が汚れてしうから、としておきますか」



人々が会場からぞろぞろと退室していく。

部屋から人がいなくなったことを見計らい、アレイオスは準備を始めた。



GM エルバルト「……閣下?」

GM アレイオス「私はもう少し、この場に留まろうと思います。貴方も退席して、結構ですよ」



会場に残ったアレイオスは、武具を準備する。

そして、待つ。

扉が開くのを。

たった一人で。

いや。

もう1人大広間に残っているものがいた。



GM キリュウ「……参ったな、僕の幻覚をあそこまで完璧に破っちゃう人がいるなんて」



この騒ぎの仕掛け人。



GM キリュウ「……あれが、英雄アレイオス。あのシャザック・ベルゼリオンが恐れた男」



キリュウは恐怖すら混じった視線をアレイオスへと向けたまま、動けずにいた。



イブンサフ VS アレイオス




扉が大きな音を立てて、開かれる。

静まり返った大広間。

その中央に彼は立っている。



イブン 「……先日振りです」浅く会釈を。

GM アレイオス「お待ちしておりましたよ」彼もまた静かに礼を返す。

イブン 「それは、至らぬ心配をさせてしまいましたか……彼は、強かった」

GM アレイオス「……そうでしょう、自慢の一番弟子ですからね」倒れたヒューイを見つめて、穏やかに微笑む。

イブン 「しかし、俺はここに立っている……そして(アレスの瞳をしっかりと捉えて)この先へも歩んでいく」

GM アレイオス「良い心がけです。が、その前には障害が一つ立ち塞がっています……どうしますか?」

イブン 「正直、今の俺には手におえないだろうし、俺だけの問題であるなら力を蓄える……しかし、俺の比翼にとっても障害であるなら……」

GM アレイオス「娘は、このイリスの為に生きると言っています。私はそれを支える立場にあります」



アレイオスが武器を手に取る。

装飾の施された、剣。

抜き放たれた剣の刃は潰れている。

おそらくは儀礼用のものだろう。



GM アレイオス「領主として、この婚姻を邪魔されるわけにはいきません。立場上、全力で阻止させていただきますよ」

ユトル エルバルトと同じ単語を…本音が出たな(笑)

イブン 「なるほど……しかし、俺が見たいのは『街のために生きる彼女』ではなく『街とともに生きて、笑っている彼女』なのだから」



玩具同然の剣。

それが酷く剣呑な代物に見える。



イブン 「そして、俺はそれを支えて生きたい。そのための力は惜しまない」ユヴァル・ブレードを右手にして二刀流。

GM ほぉ、使うか。魔剣を(笑)



対抗すべく、イブンも武器を構える。

彼の持つ最強の武具。

妖将をも打ち破った魔剣、ユヴァル・ブレードを。



GM アレイオス「妖将殺しの魔剣ですね」

イブン 「あえて、使わせてもらう……でなければ、この場では失礼だと考えた結果故に」ということです(笑)

ユトル 相手は儀礼用なのに(笑)

イブン 出し惜しみはなしだ(笑)

GM アレイオス「結構結構、貴方の持つ全てを見せてください」

ユトル 流石にもう手出しはできんな。様々な意味で(生命力、体力共に2)

カイ い、一応カバーリングできる位置にいようかな。

GM じゃあ、動こうとした人に気合を発してみようかな。マーシャルアーツな技能だ。生命力で抵抗しろー。

カイ 意志力とかってボーナスつきます?何もなければ1失敗です。

GM 意志力はボーナスとなります。

カイ お、それだと2成功です。

GM その程度ではぜんぜんダメです。気合に当てられて朦朧としてしまいますよ。

GM アレイオス「……渇っ」剣の切っ先を向けて、一括。

カイ 「ぐう……!!」おおう、くらくら〜。

GM アレイオス「さて、水を差しそうな方々にはご退場を願いました」



風。

窓も開いていないはずの室内で風を感じる。



GM アレイオス「それでは見極めさせていただきましょう」



アレイオスを中心として感じられる、風。

それは徐々に激しさを増し、この場に居るもの全てを弾き飛ばそうとする。



GM アレイオス「貴方がミリィを支えるに相応しい人物かどうかを」



風の正体、それはアレイオスの闘気。

圧倒的な闘気。



GM アレイオス「……はじめましょうか」

イブン 「ああ……比翼の導きのままに」



だが、屈することなくイブンサフは駆け出した。



GM 考えてみれば、カイが利き手をくじいているっておいしいなぁ。最終奥義、比翼幻舞が撃てない(笑)

イブン 裁定者は?(笑)

ユトル えー?(笑)

GM 人じゃないからねぇ(笑)



第1ターン



ユトル 少し距離をおいて見守ってるよ。

GM アレイオスの行動は集中。呪文を唱えているわけではない。ただ、静かに精神を統一している。距離は……なんか、ちょっと間が開いてそうだね。一回の移動で届く間合い、としておこう。

イブン 移動攻撃、二刀流。

GM 移動した場合、目標は9です。どうぞ、行動してください。

イブン じゃ、いきますっ ユヴァル・ブレード、フェイント・ソードの順番で……12と10、両方外れ。



第2ターン



ユトル 見守っている。

カイ 威圧されて動けないっす。

GM ちなみに普通の朦朧状態だら、抵抗に成功したら動けますよ。

カイ とりあえず抵抗するだけ抵抗します。

GM では、生命力+意思でどうぞ。単に一時的な足止めですので。簡単に振りほどけるでしょう。

カイ ふんはー!8を出して抵抗。

GM 振りほどけたね(笑)

カイ でも手出しはせずにカバーするタイミングをうかがうだけだったり(笑)



一方、イブンサフは。

イブン 「ちっ……」



眼前にアレイオスがいる。

どちらかといえば、小柄な人物。

小柄なはずの彼の存在が一気に膨れ上がる。



GM 強打発動。



強打とは集中を行う事で、体力を倍化させる恐ろしいマーシャルアーツな技能である。

体力10のキャラなら20になる。

集中が必要である点、大きく疲労するという点、そういうデメリットはあるが強力な技だ。



GM 全力攻撃、フェイント即アタック。狙うはユヴァル・ブレード。

イブン フェイント抵抗、重翼守、後退受けっ!

GM フェイント成功度、13。

イブン 見切った!(笑)受けも成こ……。

GM 命中判定はクリティカル。

イブン ……。

GM 命中クリティカルなんで、防御判定そのものが発生しませぬ。効果は通常ダメージだ。

イブン うーむ……。



儀礼用の剣が、魔剣に触れる。



GM ダメージは……(サイコロを4つほど振って)20点の叩き。



その瞬間、魔剣の半ばにひび割れが走る。

GM 体力判定をどうぞ。失敗すると魔剣を取り落とす。

イブン 体力は10!……13だ。



魔剣が弾き飛ばされ、床に突き刺さる。

イブン 「つぅっ……!」カラーン、と落としてしまう。



動き自体は見切れていたはずだった、にもかかわらず。

反応する事ができなかった。

武器は弾き飛ばされる。

弾き飛ばされた武器には亀裂が走っている。

……古より伝わったはずの魔剣。

その魔剣がただの一撃で。



GM アレイオス「さあ、まだまだ始まったばかりですよ……」

イブン 「今のは……?」魔剣を見て、呆然とつぶやこう

GM 彼の一撃は弾き飛ばされた剣にはひびが走っているほどの破壊力だった。フェイントソードの方を狙えば、一撃でぽっきりだったなぁ。

GM アレイオス「……ふぅ」

GM 彼が大きく息をつくと同時に、その姿から発せられていた威圧感は消え去る。

イブン 「……年齢を裏切る、と言えばいいか、年輪に裏打ちされたと言うべきか」目が爛々としてきた。

GM アレイオス「今のが、私の得意とする技です。如何でしたか……?」

イブン 「いや、感服した。しかし、まだ倒れていない……続けて行かせてもらおう」準備して、速攻幻梟閃ー!

GM アレイオス「ふむ。大抵の方は今ので戦意を失うところなのですが……」

GM ではどーぞ。こちらは全力攻撃直後なので、防御が出来ません。チャンスですよ?

イブン 準備が、11で成功。

GM うむ、フェイントソードを準備する事ができた。

イブン 幻梟閃フェイントが10の……。

GM 出目は14。

イブン お?

GM この出目でも完全に見切ってる。

ユトル カアンルーバの氏族に言うのもなんじゃが、フェイントは無駄のようじゃな。

GM まあ、フェイントで効く可能性があるとしたら、全力での比翼ぐらいだろうね。

イブン 命中判定は……9、普通に命中だっ!

GM 能動防御はしないので、攻撃は命中しましたよ。ダメージをどうぞ。



大きな攻撃の直後、アレイオスは動く事ができない。

千載一遇の好機。



GM アレイオス「……(静かに見つめている)」

GM アレイオスは、君の一撃を防御すらせずに受け止める。その重みを己の体で試すように。



フェイント・ソードがアレイオスの体を捕らえる。

が。



イブン ダメージが……4!!最低ダメージ!!←1D6を振って1が出てる。

GM 弾いた(笑)

GM アレイオス「……どうされましたか。言葉とは裏腹に、少々腰が引けているようですよ?」

イブン 「……ちっ。まだ痺れが残っていたか」構えなおし。

GM あーあ、千載一遇のチャンスだったのに、ノーダメージかぁ(笑)



第3ターン



GM アレイオス「さて、貴方の太刀筋は……見切らせていただきました」

GM アレイオスは、先読み技能を仕掛ける。知力で抵抗をどーぞ。

イブン な、なぬ?(笑)

GM 敗北した場合、先に行動宣言をお願いします。こっちはそれをふまえて行動を決めますので。

イブン 抵抗〜。2成功したのに……(GMの結果を見て)

GM 出目7、クリティカルに1届かず!先に行動宣言をお願いします。

イブン 次は二刀流だ。

カイ やはり技能の有無は大きいなあ。



アレイオスとイブンの戦い。

一見勢いよくイブンが攻めているように見える。

だが、旗から見ているカイにははっきりと分かる。

……イブンの動きは、完全に見切られている。



GM では、アレイオスは距離をつめて、格闘の間合いに入る。敏捷度で抵抗してください。失敗すると懐に入られてしまいます。

イブン うげっ。

GM こっちは9が出ている。

イブン 14、判定失敗。

GM アレイオス「さて、この間合いではどうされますか?」と、にっこり。

GM 0距離で使える攻撃は、素手による格闘、ナイフのみ。フェイントソードは、長すぎて使えない。

ユトル 「これはもしやアレイオス殿…(<ヴァルトニ>を弄びながら)」

カイ ガヤンの格闘って嫌な感じ……。

GM つめてもよし(ゴーセス)、たちあってもよし(剣術)、距離を開けてうちあってもよし(魔法)で、まあ、君が取れる行動は、距離をとる……か、武器を捨てて殴りかかるかぐらいしかないわけだが。さて?

イブン ……下がるしかない、か。3歩(m)後退しつつ、ユトルに掛けてもらった連動《護りの力場》を起動。



第4ターン



イブン 二刀流。

GM アレイオスは再び全力攻撃。今度は投器術で手首を狙おう。



投器術とは手に持った物を相手に投げつける技である。

それを用いれば、たとえ小石であっても人を殺す強力な武器となる。



イブン 実体なら受けが出来たっけ?

GM 残念、射撃攻撃に対して武器受けは出来ません。盾なら止めれるけれどね。



盾を持っていないイブンにとって、実は射撃系の攻撃は鬼門である。



イブン そっか。じゃあ避けを……避けの目標は8。

カイ ……これってカバーしたほうがよかったんじゃなかろうか(汗)

GM 良かったかもしれないねぇ(笑)

イブン てゃっ……いかんな失敗している。

GM バリアがあるし、大丈夫だろ。

イブン むう……。

GM ダメージが生命力の3分の一を超えていたら、動かなくなります。まあ、止まるかな?

ユトル ちなみに《護りの力場》は15点です。

GM あれ……そんなに薄かったっけ?

ユトル 無理を言うない。《連動》はそれだけで8点消費です(笑)

GM ……そうか、連動の消費のせいか。

ユトル これでもパワーストーン丸々潰しておるわいっ。

GM いや、悪魔と戦ったときの印象が強くって……もっと強力な結界張ってるかと思った。



アレイオスは剣をイブンに投げつけた。

吸い込まれるように真っ直ぐに、左手首を目指して飛ぶ。



GM 叩きで、手首に……22点。

イブン 「ぐぁっ……!」だらん、と、手が。

GM ……予定が狂ったな。止まると思ったんだが、手首折れたね。



強烈な一撃。

だが、今はイブンにとってまたもや訪れた好機。



GM アレイオスは君から3m離れた場所に、武器も持たず立っている状態。(全力攻撃直後なので)体勢は崩れており、完全無防備に見える。



今度こそ、逃せない。



イブン 「見切られようが、片腕が落ちようが、前に進むのみしか道は無い!」ちぇすとー!



逃せないのに……。



イブン 11、だめだなぁ……。



アレイオスは微動だにしない。

にもかかわらず、イブンの攻撃は空を切った。

彼は幾度も無防備な姿勢をさらしているというのに。

ただの一撃も決定打が入らない。

まるで、剣がアレイオスの体を避けているかのように。



第5ターン



刃がすぐ傍を通り抜けたにもかかわらず、彼は穏やかに微笑む。

彼の動きは、今までに見てきたどの剣士とも違う。

喩えるならば、狂獣は炎。

全てを己すらも焼き尽くし破壊の限りを尽くす炎。

喩えるならば、猛禽は風。

刃の嵐にて全てを翻弄する嵐。

喩えるならば、鋼壁は土。

如何なる攻撃にも耐え消して揺らがぬ盾。

アレイオスを喩えるならば、それは水。

澄み切った水面は全てを写し取る。

虚偽も真実も。

そして、水底のうねりは、誰にも見えない。

全てを押し流す洪水の如き力をその内に蓄えていたとしても。



GM ……では次のターン。



アレイオスが無手のまま、構えを取る。



GM アレイオス「次の攻撃で……私は貴方の残る腕を奪うでしょう」



そして宣言する。



GM アレイオス「その次の攻撃で……貴方に止めを刺しましょう」



更には勧告も。



GM アレイオス「……降参はしませんか?」



武器を手に持っていないにも関わらず。

彼の言葉には絶対の自信がある。

そして、降伏しないのなら容赦なし、という決意がある。



イブン 「……ふ」口端上げて答えよう。

GM アレイオス「……ふむ。降参する気はないようですね」

イブン 「前へと進む意志はここにある……(胸を叩き)そして、あなたと交わすこの時間を喜んでいる……不謹慎かな?」

GM アレイオス「我が技の理、全ての武に通ず……よって、武器などなくても戦えます。油断してはいけませんよ?」



アレイオスが、待ちに入る。

イブンはその構えを見た事がある。

ガヤン投極術の構えだ。



イブン 父娘だな……(笑)

GM そりゃそうだよ。基本は一緒。ただ、娘と違ってこっちは半ば人間やめてるけど(笑)

GM アレイオス「……では、どうぞ」

イブン むう……いや、迷うな、愚直にいくしかない!

GM きたら、コンビネーション受けを見せてやろう(笑)

イブン 真っ向勝負!

GM ならこちらは受け、投げ、極めを一連動作で行うコンビネーション!

カイ あれ、投げとかカバーできないよ……?

GM さあ、まずは見切り判定。実は投極術は意外に低いぞ。君が勝てば、受け以降の投げと極めは発生しない。

イブン 出目は8だ!成功度9!!これなら……。

GM が、見切れなかった、こちらは6が出てクリティカルです。

イブン うーん……がんばってるんだがなぁ。命中判定12、普通に命中。

GM ここからが勝負。またしても6、クリティカルに受けた!!クリティカルが連続で発生し続けています(笑)



今更蛇足ではあるが、イブンサフの攻撃は普通の成功からファンブル扱いに。

本当に蛇足だが。



GM じゃあ、そのまま投げに入った。ここは普通に投げた。投げに成功したら、そのまま関節技に入るのでよろしく。

イブン ……だめでした。

ユトル 実力の差か背負っているものの差か。

GM では、続いて腕関節技。負けると腕を極められます。出目が8、クリティカルはならずー。

イブン 4成功……でも無理だろうなぁ。

GM がっちり、腕を極められた。



切り込んだ瞬間、視界が反転する。

気がついたときには地に転がり、腕を捻られていた。

動けば折れる。

イブンはそう感じた。



見ていた二人には、両者の動きが完全に見える。

切りかかったイブンの攻撃を完全に見切り。

受け、投げ、極めた。



……勝敗は、ここに決した。



GM さて、ここらで外野の二名は知力で判定をどうぞ。

カイ 14で失敗!

ユトル 15が出て、なぜか失敗(笑)

GM 二人とも気がついていないかー。この勝負に完全に見入っていたようだ。



アレイオスがイブンの耳元で囁く。



GM アレイオス「さて……どうされますかな?降参しなければ、このまま折ります」

イブン 「やれ。折られれば、降参するかも知れんぞ?」脂汗流しながら。

GM アレイオス「……その意気や、良し」

GM アレイオスが力をこめる。まずは痛みだけを与える。体力で抵抗してください。

イブン 「ぐぁぁ……っ」がくり。

GM 11点ほど痛い。ステータス、朦朧をプレゼント。

イブン 何がだめなんだろうなぁ……。

GM アレイオス「……降参しませんか?」

イブン 「この程度で……負けたなど、片腹痛い……ぎぃっ」



意識が吹き飛びそうな痛み。

イブンは耐える。



GM アレイオス「ほぅ、まだですか?……では、仕方がない」



アレイオスが更に力をこめる。

腕が軋み、折れ……。



GM ミリステア「何をしているのっ!!」



折れる寸前で、止まる。



GM 先ほど誰も気がつかなかったのは、実は彼女の接近だ。

ユトル 「ミリステア……!」

カイ 「嬢ちゃん、いつの間に……」

GM ミリステア「こんだけ騒いでたら!誰だって気がつくわよっ!!それより答えて!何なのよこれは!!」

ユトル 「…………………………」

GM ……これはこれで、おいしい演出になったな(笑)

GM ミリステア「お父様……それに、イブン?」

イブン 「……なんだ、そのちゃらちゃらした格好は」食いしばった歯の間から、漏らす。



ミリステアは、転がっていた魔剣を手に取り、アレイオスに突きつける。



GM ミリステア「……放して、お願い」

GM アレイオス「……ふむ。折角召し捕った賊だったのですが(手を放した)」

GM で、イブンは自由に。アレイオスは君たちから少し距離をとる。

ユトル 見守り続行中。

GM 干渉はしないか(笑)

カイ だってこれはイブンとミリアの問題だもん(笑)

GM よかったね。メインイベントは君の独り舞台だよ(笑)

イブン 「……ん、く。未だ届かず、か」立ち上がろう。



ミリステアはアレイオスからイブンを守るように、前に立つ。

ミリステアはアレイオスに剣を向け、イブンに背中を向けたまま言う。



GM ミリステア「何を、しにきたのよ。今更……」

イブン 「ふむ……とりあえずは、これだ」



イブンは羽飾りを差し出した。



GM ミリステア「……何のつもりよ」

イブン 「土産を渡しに来て、何が悪い」

GM ミリステア「何が土産よ、今更、今更……」

イブン 「気に入らんか? 俺と対では」

GM ミリステア「気に入らない、わけ、ないじゃない……だから、困るのよ」

イブン 「ならば受け取ってくれ。そうしてもらえれば、俺も嬉しい」



ミリステアの肩が小さく震えた。



GM ミリステア「あたしは、結婚、するのよ……」



震えが大きくなる。



GM ミリステア「……早く逃げて、追っ手は掛けさせないから」

イブン 「残念だが、それは聞けんな」

GM ミリステア「……お願いだから、早く。……でないと、でないと、私はミリステア・イリスで居られなくなる」



声が木霊する。



GM ミリステア「逃げてっ!!!」

イブン 「逃げろ、では願いとは思えんな、ただの命令だ。質問に質問で返すようで悪いが……お前は、俺に、何をしに来たと言って欲しいのだ。お嬢……いや、ミリアは、何を、願う?」

GM ミリステア「私は、ミリステア・イリス。イリスの繁栄と平和を何よりも願う。だから、それを乱す貴方は……去って。お願い、だから……」



イブンは答える。

その答えは……。



イブン 「そうだな……この街の未来はミリアにくれてやろう。 代わりに、ミリア、お前を俺にくれ」

GM ミリステア「……!!」



イリスの未来を自分に任せろ。

彼はそう言っているのだ。



GM ミリステア「なによ、それ、あんたなんかに、何が出来るっていうのよ……」

イブン 「俺はやっと見つけたんだ、比翼のつがいを。 俺の未来は、お前の未来とあると信じて、ここまで来たんだ」

GM ミリステア「ぶらっと街に立ち寄っただけのあんたに、何が……」

イブン 「ああ、そうだな。だが、通り過ぎることも出来た。しかし、ここにいて、日々を営んでいて、この街を愛している」



声に動揺が走る。



GM ミリステア「剣を振るうしか能がないあんたなんか……わたしは、わたしは……」



沈黙。

長い長い、沈黙。



イブン 「シュナがいて、ユトルがいて、カイがいて、皆がいて……ミリアもいる」

GM ミリステア「あんたなんか……」



ぽつりと小さく繰り返す。



イブン 「ミリア、お前は何を願う? 問題があれば共に当たろう、苦難が在れば支えよう、喜びを分かち合おう」



イブンが言葉を掛ける度に、ミリアは震える。



GM ミリステア「あんたなんか、あんたなんか、あんたなんか……」



振り払うように、声を絞り出す。



GM ミリステア「あんたなんか、あんたなんか、あんたなんかっ!!!」



振り払うように、声を張り上げる。



イブン 「いつかの約束を、もう一度……。俺は、お前を、命が燃え尽きるまで、愛そう。 約束は守るのが、俺の信条だ」 回した腕で抱きしめよう。



そして。



GM ミリステア「……大好き」



ミリステアは抵抗することなく、その腕に抱かれた。



ユトル 「…(ただ微笑んでいる)」

カイ 「ったく、回りくどいやつだなあ……」



見守っていた二人が、ほっとしたように微笑む。

更にもう一人。



GM アレイオス「……はて、困りましたなぁ」

GM ミリア「御免なさい、お父様。あたし、やっぱり……ミリステア・イリスにはなれそうにない」

GM アレイオス「……そのようだね。やっぱりお前は、昔から変わらない。我侭な私のミリィだ」

GM ミリア「うん、だから、我侭、言うね……」

GM アレイオス「……それを、許すわけには行かないのだがね」

GM ミリア「じゃあ、無理やり」

GM アレイオス「……できるものなら」



アレイオスも笑っている。



GM ミリア「行くわよ、イブン。二人で……あのオヤジをぶったおして」

イブン 「承知」

GM ミリアが素早さの魔法を唱える。……発動成功。素早さが+5された。



イブンの片腕は動かない。

だが。



GM ミリア「……一撃で決める、いい?」

イブン 「……ああ」



案ずる事など、何があろう。



GM 君の横に並び、ミリアもまた剣を構えるぞ。



両の翼が揃った今となっては。



GM さあ、行動の宣言を。アレイオスは無手のまま、構えを取る。



その顔には微笑みさえ浮かんでいるが、構えに隙はない。

彼もまた、全力なのだ。



イブン ここで使わなくて、いつ使う……全力比翼幻舞で!(笑)

GM さあ、こい!



イブンサフが舞う。

そこに一切の保身はない。

傍らにある相棒を信じての全力攻撃。

絶対に倒してくれる。

そう、心の底から信じなければ出来ぬ動き。



イブン 「……っっつああぁぁあああ!!」



正真正銘、最後の一刀。



イブン 2、2、5の合計9!24ってーフェイントが飛ぶ!

ユトル 「(眼を見開く)」

カイ なんじゃそのフェイントは(笑)

GM 基準値から、全力で+4、すばやさで更に+5!

イブン 24+4+5で……33!!

GM ああ、こっち、ぜんぜん駄目だ。出目が14とか言ってる。もろに喰らってるよ(笑)



イブンが動く。

そして、導かれるように、ミリアが。



GM ミリアが動く。魔剣の助けもあり、技能は16に到達してる。そっちで振ってください。



手にした魔剣を振るう。



イブン 命中だっ!

GM うわぁ、こっちは全く話になんねぇや(笑)



魔剣はアレイオスの喉元に突きつけられていた。



GM アレイオス「……降参です」



エンディング:イブンサフ




親娘は小さく別れの言葉を交わした。



GM ミリア「じゃ、行くね」

GM アレイオス「……うむ」

ユトル ちらりとカイの眼を見ようかな。どんな表情をしているのか。

カイ 満足気に笑っていよう。何も言わないぜ。全部イブンにまかせてやる(笑)

ユトル なら、それを見て思わずまた笑おう(笑)

GM さて、終幕だ。君たちはこのまま外へ出る事ができる。外へ出ると、プラカードをたくさんもった人たちが出迎えてくれます。

GM 「姫様の結婚反対!」「政略結婚反対!」「ガロードはかえれ!」「愛こそ全て!」

GM 群集が出入り口を押さえています。その先頭にはシュナの姿があったりするのだが、まあ、どうでも良い話ですな(笑)

イブン 「ミリア……その、すまんが。 手をつなぐのはいいのだがな、実は左の手首は骨が折れているのだ・・・」脂汗がだらだらと。

GM ミリア「んなこと言ってる場合じゃないって!あれを突破しなきゃ……」力がこもる。

イブン なぜか、手をつないでいるのに、脂汗がだらだらだら……って二人が出てくるわけだな。

GM で、まあ、殺気立っていた群集は、君たちの姿を見るわけだ。



一斉に、群集が。

二人を見て。



イブン 「ぐぁっ……ひ、引っ張るなっ」

GM ミリア「……行こうっ!!」ぐいっと引っ張る。



何かを悟ったように。

道を開ける。

そして、拍手が巻き起こる。

で、その一瞬後に遅れて出てくる人影。



GM ガロード「まてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

GM ガロードが追いかけてくるのだけれど、彼は群集に阻まれて追いつけないのであった。



一方、イブンとミリアは。



イブン 「わ、分かったから、ちょっと待て……!」一旦手を離して。

GM ミリア「そんな暇ないってばっ!!」

イブン 「とりあえずは、これをつけろ!……そうすれば片手が空く」首に羽飾りをつけてやろう。

GM ミリア「……え?」



街の民が見守る中で、飾りを付けられて。



イブン 「お前と俺の片方ずつ、二人の翼なら、どこまででも行ける……だろう?」言って、空いた片手を差し出そう。



ミリアが手をしっかりと掴んで。



GM ミリア「あったりまえでしょっ!」



最高の笑顔を見せた。



エンディング:ユトル




GM 縁の下のお二人さん。どんなのやりたいですかー?

ユトル さて、儂は儂で最後にやっておかなければならんことがあるんじゃよな。

GM じゃあ、それをもってエンディングとしよう。ユトルのエンディング、スタート。

ユトル <ヴァルトニ>で上空からシュナを捜す。

GM シュナはあっさりと発見できましたよ。プラカードもって騒いでますね。

ユトル シュナを見つけたら駆け寄って「うむ、ここにおったか」

GM シュナ「おじーちゃん!やったね!やったねー!!」飛び跳ねています。

ユトル 「うむ。うむ(満足げに頷く)まで厳しくしてきたが……」

GM シュナ「???」

ユトル 「よくやった。お前は儂の自慢の弟子じゃよ(抱きしめて頭を撫でてやろう)」初めて褒めたかも(笑)

イブン 面と向かっては、かな?(笑)

GM ではシュナはこう返そう。

GM シュナ「あったりまえでしょ!」と、先ほどのミリアを真似する様に(笑)

ユトル やれやれ、先が思いやられるな。と抱きしめたまま考えていよう(笑)



エンディング:カイ




GM では、カイの方へいこう。



……先の花嫁逃亡事件より一巡り。

ガッシュの墓前にて。



カイ 「隊長、この街の未来は安泰ですよ」

GM じゃ、報告をした君の後ろに立つ人物が居る。ヒューイとアレス、どっちがいいですか?(笑)

カイ ヒューイ(笑)

GM じゃ、ヒューイにしよう。

GM ヒューイ「……どうも、こんなところに居ましたか」

カイ 「ん?ああ、ヒューイか……」

GM ヒューイ「やれやれ、ずいぶんと探しましたよ」

カイ 「俺になんか用なのかい?」

GM ヒューイ「聞きましたが、最近は神殿の中で風当たりが強いそうですね」

カイ 「あっはっは……まあ、あんなことしたからな」

GM ちなみに、君はあんな事をしでかしたわけだから、民衆はともかく上の人の反感は買い捲りです。

カイ 「神官としての心構えが云々、ってうるさいんだ。……でも、後悔はしてないぜ」

GM ヒューイ「そんな貴方に、一つお話があるのですけれど……この街の外へ、行きたくありませんか?」

カイ 「…………は?」

GM ヒューイ「お嬢様と、お嬢様を奪った賊を捕らえる為に……追っ手を出さねばならなくなりまして。現在、その為の人員を探しているところなのです。貴方なら、実力的には十分ですからね」

カイ 「あのなあ、なんで俺がけしかけた奴らを捕まえに行かにゃならんのだ」

GM ヒューイ「このままだと、貴方も居心地が悪いでしょうし、ほとぼりを冷ますために……どうでしょうか?それに、街の外を見てみるのも悪くないと思いますよ?」と、曲者らしく。

カイ 「ったく…………見当はついてんのか?」

GM ヒューイ「さあ?情報はまったくありません」

イブン 情報0なんて……絶対に、無い(笑)



ガッシュの墓は、街の全貌を見渡せる丘の上にある。

カイとヒューイは今、街の全貌を見下ろしている。



GM ヒューイ「ああ。あと、志願者には発見するまで戻ってくるな、と命令が下される事でしょうね……さあ、どうされます?『イリスの盾』よ」

カイ 「……ふん、狸が。やっぱり俺はお前のことが嫌いだ。」ヒューイに背を向け歩き出そう。

GM ヒューイ「……それは残念」と、優雅に一礼。

GM じゃあ、街を見下ろして一言どーぞ。それで物語を終わりとしよう。

カイ 立ち止まり、振り向いて笑う「待ってな。本当に連れ戻してきてやるよ」



かくして、物語は新たに紡がれる。

だが、それはまた別の物語。

機会があれば、語りましょうぞ。



GM これにて『イリスの英雄』閉幕にございます。お疲れ様でしたー。読んでくれてありがとうー!!



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