花嫁の遁走曲(ミリステア・フーガ)
〜羽飾りを君に〜
第4楽章





3日目:イブンサフ




彼の行動は「ヒューイに会う」



GM 君はヒューイを探して街を歩いている。

イブン  この際だから、こっちから行ったことにしてもいいかな?



が、会えない。

商会に顔を出してみるも、最近は忙しいようである。



GM 店員「すいません。支店長は……夕方には戻ってくると思うのですが」

イブン  「……やはり、忙しい様子、か」

GM 店員「伝言などがありましたら、承りますが」

イブン  「わかった……俺はイブンと言う。また、そのときにでも伺うと伝えてくれ。後滞在先は……」工房をあげておこう。



舞台はバイカン工房。

ユトル爺さんはなにやら忙しく動き回っているようだし、シュナもどこへいるのやら。

そして、お客も居ないので工房は静かなものである。



イブン  店番しつつ待っていよう。

GM では、誰も居ない工房で一人店番を。

イブン  「それにしても、ユトルはどこに行ったのだ……」ぼーっとしてる。



外は雨。

雨音だけが響く。

不意に工房のドアがノックされた。



イブン  「……開いている」

GM ヒューイ「失礼します」



現れたのはヒューイ・レオル。

イブンが捜していた男。



GM ヒューイ「なにやら、ご相談があるとか。店の者に聞いたので伺いました」

イブン  「ようこそ、というべきか……いやまずは、久しぶり、だろうか」立ち上がって歓迎しよう。

GM ヒューイ「お久しぶりですね。……ああ、こちらをどうぞ。たいした物ではありませんが」と、茶菓子とお茶っぱの詰め合わせでも差し出しましょうか。

イブン  「ああ、すまんがカウンターにでも置いておいてくれ」ヒューイとすれ違いにドアへと近寄って、「CLOSE」札出しておこう

GM ヒューイ「……誰も居ないのですね、今日は」工房を見渡して。

イブン  「ああ。忙しそうにしている……ヒューイと同じだな」

GM ヒューイ「そんな事ないですよ、こうしてここに顔を出せる程度には時間があります。台所、お借りしますね」かって知ったるなんとやら。自分で茶の準備でも。

イブン  「まあ、とりあえずかけてくれ」カウンター前の椅子を示して「今度は俺が茶を入れよう……シュナほどうまくは無いだろうがな」

GM ヒューイ「そうですか?」

イブン  「ああ。でなければ、どちらが客か分からん」

GM ヒューイ「では……お任せしましょう」

イブン  「……だが、期待はするなよ」

GM でも、現在お茶っぱこの工房にはないんだよね、生活レベルが下がってケチケチやってるらしい(笑)



何気ないこの台詞。

実はトラップだったりする。



イブン  茶っ葉なら、今差し入れがあったろう(笑)

GM ああ、そうだったね。



そして、イブンはトラップにあっさりとひっかった。



GM では、君はヒューイが差し入れたお茶を使って、準備した。

イブン  まあ、淹れるシーンは省いて……それとも、判定する?(笑)

GM えーっと、ここらで知力判定を一回しておいてね。

イブン  ふむ。15、失敗〜。

GM ああ、駄目駄目だな(笑)



ちなみに今の結果が何であるかは、また後ほど。

イブンはお茶をどの程度上手に入れることができたか、だと思っているようだが……。

んなわけ、ない。



GM まあ、今の結果はさておいて。準備が整ったところで、カウンターへ

GM ヒューイ「ありがとうございます」

イブン  「待たせたな……」自分も座って、湯飲み(?)を並べよう。

GM ヒューイ「ああ、早速使ったんですね」 と、カップに手を伸ばしますよ。

イブン  「……やはり、まずいな」一口飲む。

GM ヒューイ「(お茶を飲みつつ)ああ、そちらのお菓子とこのお茶、よくあうんですよ」

イブン  「ふむ……どこか、硬いな。硬くなる理由を知っているのではないのか?自分で」

GM ヒューイ「そんな事はないと思いますが……さて?」静かにお茶を飲み、茶菓子を食べてます。

イブン  「まあ、今更ヒューイと腹芸でわたりあえるとは思っておらん……大体、用向きも察しているのだろう?」

GM ヒューイ「なんとなく」

イブン  「だが、まあ、単に顔を見ておきたかったというのもあるのだがな」ズズズー。

GM ヒューイ「今日を含めて、あと5日ですね……(お茶をずずっ)」

イブン  「あと5日……準備にはどれくらいかかった?」

GM ヒューイ「準備期間自体は前々から。動き始めたのはこの一ヶ月程度ですか。両者の意見が完全に一致していまして……思った以上に手早く話をまとめることができましたよ」

イブン  「両者の意見、というのは?」

GM ヒューイ「婚姻とは両者の同意に基づいて結ばれるものです」

イブン  「そうだな。ああ、そうだ。……だが、今回は少し違うのではないか?」

GM ヒューイ「ミリステア・イリスが望み、ガロード・レオルもまた望む。何か問題でも?」

イブン  「違うな……」

GM ヒューイ「では、利害の一致とでも言い換えましょうか?この街の統治者側は豪商の財力を欲し、豪商は王国へと食い込む足がかりを欲している」

イブン  「まだ、言葉が足りないだろう?」

GM ヒューイ「先の事件がイリスに残した爪あとは未だ大きい。壊れた建物、怪我をした者に対する保障……とにかく、費用がかさんで困りますよ。……と、それもまあ、あと五日ほどの話ですが」

イブン  「時は金なり……また逆も然り。癒すのには時間か、金がかかる、か。世知辛いことだ」

GM ヒューイ「この婚姻が成立すれば、我が商会の頂点たるガロード・レオルからイリス復興の全面支援が発令されることになっています。そうなれば、全ては丸く収まります」

イブン  「丸く、か……だが、俺にはそうは思えん」

GM ヒューイ「そうですか?何がでしょう。街は復興し、民には平穏で安全な暮らしが戻る……元通りです」

イブン  「外面は丸くとも、中心を欠いていないか?ドーナツのように」

GM ヒューイ「それは、必要のない部分だと思います。ドーナツの真ん中は、必要がないから穴が開いているのです」

イブン  「ふむ……矛盾、だな」ずずっ。

GM ヒューイ「……彼女は」

イブン  「必要なのは結果だけか?それはどこか違うと思わないか?」

GM ヒューイ「ミリステア・イリスは言いました。強くなる、と」

イブン  「……」

GM ヒューイ「自分の大切なものを、自分の手で守れるように、強くなる、と」

イブン  「……」

GM ヒューイ「その為には何をも厭わない、と」

イブン  「……あの、阿呆が」

GM ヒューイ「今の言葉に……覚えはありませんか?まあ、覚えていなければ。それでも良いのですが」

イブン  「ああ、聞いた」たしか、箪笥に転移させられた後だったな(笑)

GM ヒューイ「……聞いた、か。やはり覚えてはいないようですね」ほんの一瞬だけ、表情が険しくなります。

イブン  ん……あー。

GM ヒューイ「いえ、何でもありません。こちらの話です」

イブン  「その言葉は、俺の中にもある……が、やはり足りんな」

GM ヒューイ「足りないとは?貴方にとっては、何が足りないのですか?……おっと、失礼。これは私が聴くべき言葉ではありませんね」

イブン  「いや、ヒューイにこそ聞いてもらいたいとも思っているのだがな」ずず……。

GM ヒューイ「では、聞かせていただきましょう」

イブン  「守るのは一度だけか? 一度守ると決めたからには、最後まで立っていなくてはならん……最後の最後まで。見届ける覚悟が無いならば、それを持ち出すべきではない、と俺は思っている」

GM ヒューイ「……生涯をかけて、イリスを背負うと誓ったからこその、婚姻ですよ」ぐいぃっと、お茶を飲み干した。

イブン  「む、空いたか。ヒューイもどうだ、代わりは」次ごう。



ヒューイは、叩き付けるようにカップを置く。



GM ヒューイ「ミリステア・イリスは知っている。己の弱さを、無力さを」



その顔からは笑顔が消えていた。

そこにあるのは。



GM ヒューイ「彼女には生まれてからずっと、人として目指す形が目の前にありました。だから、それに近付こうと努力を続けた」



怒り。



そう、彼女の目の前にはあまりにも完全な者が存在していた。

完全すぎる、父親の存在。

それを目指さなければ、彼女があれ程追い込まれる事はなかっただろう。



GM ヒューイ「……だが、彼女は敗北し続けた。誘拐された少女を救おうとして、ある傭兵の前になす術を持たなかった。悪魔と化しイリスを焼いた魔女を前に、手も足も出なかった。情報部の長シャザック・ベルゼリオンに、抗うことはできなかった」



苦悩。



襲い掛かる苦難の連続は、非力さを付き付ける。

残酷なまでにはっきりと。

せめてもう少し自分に力が、彼女を支えられる力があれば。



GM ヒューイ「……だから、弱音を吐いたのだよ。イブンサフ・レーベンクイール」

イブン  「……」



慟哭。



なぜ、その言葉を自分に伝えてもらえなかったのか。

最も長い間、彼女の傍らにあった人間は、自分であったはずなのに。



GM ヒューイ「……貴方に自覚があったかは、知らない。だが、彼女を今の形にしたのは、貴方なのだ」

イブン  うわちゃ。



再び、怒り。



何も言うまいと思っていた。

だが、黙っている事はできそうになかった。



GM ヒューイ「先ほどの言葉は……貴方がミリステアに言ったものだ!!」



彼女の思いに無自覚な、この男が許せない。



GM ヒューイ「……だから、彼女は再び立ち上がったのだ。自分の大切なものを、自分の手で守る為に、その為の強さを得る為に」



彼女の決意を理解しない、この男が許せない。



GM ヒューイ「……私は、それを支えたいと思っています」

イブン  「ふふ……」



彼女が選んだ、この男を許せない。



イブン  「……すまない。君を笑ったのではない。そうか、なるほど」

GM ヒューイ「ミリステア・イリスが……為政者としての道を歩むなら、私はその僕としての道を歩む。どのような事も、厭わない」

イブン  「ああ、それでいい。むしろ、そうでいてくれ……それは君の信念なのだろう?」

GM ヒューイ「……失礼、少々、頭に血が上ったようだ」

イブン  「いや。イリスの曲者も、その実は兄馬鹿なのだと再確認したところだ……」

GM ヒューイ「ところで……貴方はアレイオス様とお会いしたそうですね」

イブン  「ああ……凄まじい、としか表現できない人物だったな」

GM ヒューイ「そうですか、ですが……優しい方ですよ。甘すぎるくらいに」



そう、あの方は甘い。

手段を選ばず、敵を排除する事はしないだろう。

彼女の誇りと決意を踏み躙ろうとする、この男が相手であっても。

ならば……。



GM ヒューイ「なんでも、全面対決を宣言したとか」

イブン  「……だったら、どうする? イリスの曲者」

GM ヒューイ「私は閣下ほど甘くないですよ。ミリステア様の道を惑わせ、阻むものがあるならば……その場で排除します。準備する時など与えません」

イブン  「……愛されているな、お嬢は」嬉しそうに。ずずっ。

GM さて、さっきからしっかりとお茶をがぶ飲みしてましたな。差し入れのお茶を(笑)



先ほどの判定。

あれはお茶にしこまれた睡眠薬に気が付くかどうか、だったりする。



GM 生命力判定をどうぞ(笑)

イブン  ……ああ、なるほど。



実のところ、この物語はこの時点で9割方詰みである。

睡眠薬に気が付かずお茶を入れてしまった時点で。

ヒューイが持ってきたお茶を飲んだ時点で。



GM −5ほどペナルティ。……ヒューイ自身は抵抗できず(笑)



まあ、お茶の準備をイブン自身に許したり、ヒューイ本人も飲んだりと油断を誘ったわけだが。

ともあれ判定である。

イブンの生命力は11。

ペナルティが5もはいると、まず成功はしない。

ちなみにこの判定に失敗すると、イブンは誰も知らない場所へ監禁されることになる。

監禁された場合、自分で脱出、もしくは他のPCが救出しない限り動けなくなる。

そして、この状況……他のPCはイブンの危機を知りようがない。

物語からの退場がほぼ確定である。



イブン  ダイスはー……2、2、1。成功したぁっ!!(笑)

GM ああっ!?抵抗しやがった!?



確定のはずだったんだがなぁ。



GM では、猛烈な睡魔に襲われてしまいますが、かろうじて意識を保つ事ができます。君の目の前で、ヒューイがそのまま意識を失うのが見えます。

イブン  「……ひとつ、いいことを教えておこう。俺たちはな、日常的にあるものを口にしているのだ」にやり。

GM ヒューイ「……」

イブン  「……先ほどの君が激した言葉。 あれは俺には『責任を取れ』といっているようにしか聞こえなかったのだが……ふむ、寝てしまったか」

GM でも、抵抗できても睡魔は強烈です。あらゆる行動にー4ほどペナルティっと。

イブン  むむ。

GM さて、この直後、どうするかを質問。どういう行動を起こす?ヒントは与えない(笑)

イブン  ここはこの場を離れたほうが賢明そうだな。逃げよう(笑)

GM ちっ……その行動は正解だ。部屋の周囲をヒューイの配下がきちっと包囲しています。逃げるなら逃亡の判定を。忍び足に成功すれば、それでおっけーだ。

イブン  むぐ。



睡眠薬のペナルティや、装備品のボーナス。

全てを足し合わせて目標は11。

ここで失敗しても、物語から退場がほぼ確定である。



イブン  ……1成功!

GM ぐあぁぁ……この状態で脱出成功しやがった!!−4のペナルティだっていうのに……。

イブン  「……責任は果たさなければ。約束は守るのが信条だから、な」微笑んで、街に駆け出していこう〜。

GM じゃあ、君は雨の中、外へと逃げ出した。周囲には一般人っぽい格好をしているけれど、ヒューイの配下らしきものたちがたくさん。それを尻目に君は立ち去った。

イブン  問題は次なんだよな……どこに行こうか。

GM うむぅ、お見事、お見事。睡眠薬への抵抗、ヒューイ睡眠後の判断、逃走判定、どれか一つでも引っかかれば……その時点でこの物語はツミだったんだがなぁ(笑)

イブン  こぇよ(笑)

GM ちなみに、牢獄に放り込まれた場合……他のPCが助けに来たり、自分で脱出しない限りは助けはありませんでした。

イブン  それは……最終日まで助けが来ないといってる?(笑)

GM 最終日になっても、助けがきませんでしたよ。GM側からは手を差し伸べる予定一切なしってやつですな。(笑)



4日目:イブンサフ




GM 後、2日……思いつく限りどうぞ。思いつかなきゃ、ただ時間が過ぎるのみ〜。

イブン  二人に接触したいけどそう……だ、クラップはどうしてるんだろう。あ、ちなみに。街に、イブンの手配書は出てたりしない?(笑)

GM 手配書は出てないね。少なくとも表立って手配って事はなさげ。

イブン  まあ、それでも安易に出回るのは危険か……ドレックのお店に行って、ウィルにお使い頼んでみよう(笑)

GM じゃ、4日目ドレックの家にて。最近、ドレックはちょっとした飯屋を作ったらしい。

イブン  繁盛してる?(笑)

GM そして、そこそこに繁盛しているらしい。

イブン  なるほど。

GM そのせいなのか?彼は家にいなかった。で、代わりに現れるのがその息子。

イブン  あ、一応マントかぶって顔は出さないでおくよ。

GM ウィル「ひっさしぶりー!!イブンの兄ちゃんじゃんっ!!」

イブン  ちょ(笑)「ああ、久しぶりだな。元気にしていたか?」

GM ウィル「元気元気。で、兄ちゃんはどしたの?見るからに不審者ですーって格好してさ?」

イブン  「……む。 そうか、不審者か」残念そうにフードを下ろそう。

GM ウィル「どっから見ても怪しいじゃん、その迷彩柄のマント」

イブン  「これはジャングルカムといってだな……まあ、今はその話はいい。父親……ドレックはいないのか?」

GM ウィル「うちの不良オヤジだったら今、居ないよ?昨日、カイ兄ちゃんが来てさあ……そっから、戻ってくる気配なし」

イブン  「そうか……苦労しているな。少し、話を通してもらおうと思っていたのだが」腕組みして考えよう。

GM ウィルは普通のがきんちょです。がきんちょだから、自分から察して助け舟なんて出してやらない。そこんとこ、よろしく(笑)

イブン  「ところで、クラップはここに現れたりするのか?」ウィルに聞いてみる。

GM ウィル「……誰、それ?」



ウィルはクラップと面識なんてありません。



イブン  「黒羽のミュルーンなんだが……そうか、知らないか」

GM ウィル「うん。会った事ないなぁ……その人がどうかしたの?」

イブン  「いや何、会って話がしたかったのだが。行方が知れずというか、知っているが捕まらずというか……」

GM ウィル「ふーん、そうなんだ。大変だね。あ、そんな事よりさあ……僕、最近ジェスタ神殿で武器の使い方教わってるんだ!ちょっと見てよ!」

イブン  「ほう……だが、ここで振り回すのは危険ではないか?」

GM ウィル「大丈夫、大丈夫っ」

GM このままだと、がきんちょに世間話や遊び相手として使われて終わりますぞ(笑)

GM ウィル「うおりゃー!」木剣を振り回して、切り掛かってみる。

イブン  ……鉄拳受け技能が欲しくなった、一瞬(笑)

GM 格闘技能でもとれ(笑)

GM ウィル「……あうっ!?」家具をぶん殴って壊した。

イブン  「……ふむ。勢いは悪くないが、周囲をもっとよく見なければいけないな」頭をなでよう。

GM ウィル「あわわわ……」どうしようか困っている。



二人して部屋の片付け。

その後に。



イブン  「ウィル。ひとつ、遣いを頼まれてくれないか?」

GM ウィル「いいよー。なに」

イブン  クラップ宛の手紙をウィルに持って行ってもらう「場所は……だ。頼んだぞ」言って、飴を渡そう(笑)



5日目:イブンサフ




イブンはクラップをドレックの経営する居酒屋に呼び出した。



GM ドレックの家から少し離れた場所にある、ちょっとした料理屋。



が、この時点では……『本日休業』の看板がかかっている。

カイに頼まれ、ドレックは店を閉めて情報収集中である。

ひゅるるるー。

風が吹き抜ける。



GM クラップ「……」



閉まったままの店。

その前で待つ、カラス羽のミュルーン。



GM クラップ「わい、なんでこないな場所でつったっとんのやろ……」



ひゅるるるるー。

なんだかとっても寒い。



イブン  じゃあ、店の脇の路地から出てくる「……久しぶりだな」

GM クラップ「おそいわっ!」びしっと突っ込み。

イブン  「まあ、何事にも絶対は無い、ということだな」

GM クラップ「しかも、休業の店に呼び出すとは……」

イブン  「食事でもしながらと考えていたのだが……これでは無理か」

GM クラップ「確信犯が何抜かすー!食事代けちるつもりやろがっ!」

イブン  「まあ、食事はすべてが終わってからでも遅くは無いだろう」なんか、一人で納得する。

GM クラップ「まあ、ええわ。先言うとくけど……銭にならん話やったら、他所へ回してやー」

イブン  「まあ、それは話を聞いてから考えてくれ」

GM クラップ「聞くだけなら、タダにしといたろ」

イブン  「助かる」腕を解いて「とりあえずは……久しぶりだな。元気な用で何よりだ」

GM クラップ「時は金なり、ちゅーてな。挨拶なんぞしにきたん違うやろ。本題は何や?」

イブン  「相変わらず性急だな。それではいい話も逃げてしまうぞ……だが、時間が無いのは合っているか」

GM クラップ「ん?」

イブン  「うむ。今度のお嬢の結婚式に関しての情報を手に入れたい。神殿の間取り、警備体制、分かる範囲で、時間の間に合う範囲で、だ」

GM クラップ「あ、それ無理」

イブン  「ふむ。そうか……」

GM クラップ「わい、それの警備引き受けとるし。警備情報はもらせへん」

イブン  「そうか、では仕方が無いな」

GM クラップ「ユトルの爺さんに頼まれてなぁ。あっちが先約やから……力になれんわ、そればっかりは」嘴を爪でぽりぽり。導入の段階で、金ちらつかされてるんだよね(笑)

イブン  金は嘘をつかない、か?(笑)

GM 契約者への義理ってのもあるだろう(笑)

イブン  「すまなかったな、時間をとらせて」

GM クラップ「まあ、雇われもんにも雇われもんなりの仁義があるし……堪忍してやー」

イブン  「……時に、ユトルとは最近会っているか? 工房にいたのだが、ここ数日戻ってきていないみたいでな」

GM クラップ「ああ、忙しく動きまわっとるみたいやで。ワイは式場のサリカ神殿にばっかりおるから、詳しくは知らんけど。当日には顔だすんと違うか?」

イブン  「ふむ……もし会うことがあれば、話がしたい、と伝えてもらえないか?」

GM クラップ「それくらいやったら、お安い御用やで」

GM えーと、他に思いつく事がなければ。このまま終わりですが。

イブン  「なあ、クラップ……クラップから見て、新郎はどんな人間に見えた」

GM クラップ「金持ちの嫌なおっさん」

イブン  「なるほど……今日の穴埋めは、またさせてもらおう。ではな、頑張ってくれ」

GM クラップ「料金の範囲でがんばるわ」と、嘴を反らす。

イブン  と、こんなもんだろうか。まだ何か出来そうだけど、どれも危険そうで……。



6日目




GM 結婚式前日です。全員の予定をどうぞ。最後の行動になるのでよーっく考えてください。

ユトル  儂はイブンサフに最低限の備えとして《連動》をかけたい。

イブン  カイとユトルも、あんまり合流してないっぽかったけど、大丈夫?

ユトル  まぁ、儂らはどちらにしても明日会う。同じ職場じゃからな(笑)

カイ  最悪の事態を考えるて、最低でも俺一人くらいはイベントに参加したほうがいいと思うんだよね。

ユトル  GM、イベント名は?

GM 「天空の女神たち」抽象的でしょ?(笑)

ユトル  合流して指輪の事を聞いておきたいが、やはり誰か一人でもイベントに参加しておいた方が良いじゃろうな。

イブン  なるほど。じゃ、こっちだけでも合流しておいたほうが良いとして……場所はどうする?

ユトル  さてな……工房はまずいじゃろうか?

イブン  工房って言うか、自宅かな。イブンは、自室か静かな場所で考え事していたいかもだから。

ユトル  なら、『一番槍(休業中のドレックの店)』はどうじゃろう?あそこなら追っ手もやってこまい。

イブン  ふむ。じゃあ、、ドレックのお店で……また、あそこで待ち合わせか(笑)

GM 相変わらず、閉まっているんだがね(笑)



イブンとユトルは「二人で相談」

カイは「GMイベント」



6日目……に、入る前にプレイヤー暫し相談。



カイ  ドレックが気を利かせて(指輪の情報を)しゃべりに行ってくれないかなあ(笑)

ユトル  そう言えばカイもドレックにあれから会ってないかな。

GM まあ、望むなら誰かに情報を流した事にしてもいいけどねぇ?

イブン  魔化具に関してだから、カイからユトルに相談してくれって言ったら来てくれそうだけど。

GM 熟練の情報屋はこの情報を誰に流すのが最善と判断するだろう……?

ユトル  そりゃ、カイの目的から考えて領主かな(笑)

カイ  おお、そうすれば領主様も考え直すかも(笑)

ユトル  確実に判断材料にはなるな。

GM ちなみに、協力NPCの最終日の行動は君たちに考えてもらおうと思っている。君たちが望む事を陰でこっそりやってくれる。もちろん、そのNPCに出来そうな範囲で、という宣言が付くけれど。たとえば、ドレックなら、誰か(君たちが指定した人物)に指輪の情報を流すとかね。

ユトル  ところで、ドレックの店にウィルは居るかな?

イブン  ウィルは、お店じゃなくて自宅のほうにいるんじゃないかな。

GM そうだね。ウィルは自宅だと思う。

ユトル  まぁ、どちらでもいいんじゃが、とにかく自宅は知られすぎていてなんとなく嫌じゃな。儂の最終日の行動は、ドレックの家に仲間と集合する。で決まり。入れてもらえなければ場所は代えるしかないが。

イブン  住職別態だと、最初気づいてなかった(笑)

ユトル  ちなみに式場のサリカ神殿には一般来場者(≒野次馬)も大勢来る?

GM そりゃ来るよ。式場には入れなくても、周囲は野次馬で一杯だろうし。

ユトル  なるほど了解。

イブン  ならば…… 「あの方」にも協力してもらうのはどうだろう? 陽動ならお手の物だと思うんだけど……(笑)

ユトル  難しいな。戦争するわけではないし(笑)

イブン  ……しまった。計画の目的を知ったら、逆に邪魔されるかも知れんな(爆)

カイ  もうすでに周囲は野次馬で一杯なんですか?

ユトル  いや、それはまだだと思うよ。ただ、当日それは戦力になるかもしれない。だから予め聞いておいただけ。

カイ  なるほど……ってことはある意味警護は楽か。

ユトル  そもそもイブンはどうしたい?

イブン  ユトル、カイと話がしたい、くらいかな。プレイヤー的には。

ユトル  違う。ミリステアを掻っ攫いたいのか、ひっぱたいて目を醒まさせたいのか、列席して祝福する友人その一になりたいのか。

イブン  ああ。そういう意味なら、本音を引き出したい。

GM もう、全部出てるんだけどねぇ。

ユトル  出てる出てる。寧ろイブンの本音を引き出したい(笑)

イブン  「ミリステア・イリスの意見」じゃなく、「ミリアの本音」を全市民の前でぶちまけてもらいたい(笑)

ユトル  なるほど(笑)



6日目:イブンサフ&ユトル




場所はドレックのお店にて。

相変わらず、店は閉まっている。



GM その閉まった店の前に君たちはいた。……さて、こっから先は二人でどうぞ(投げた)

イブン  え、あれ?(笑) 

ユトル  えー(笑)

GM プレイヤーだけの登場シーンなぞ、私は知らん(笑)

ユトル  うわーい(笑)

GM 適当に盛り上げてくれる事を期待するぞ。

ユトル  では二人で会話しようか。



イブンサフとユトルは差し向かう。

こうして面と向かって顔を合わせるのは、ずいぶんと久しぶりだ。



ユトル  「……久しいな、イブンサフ」

イブン  「一ヶ月か。しばらく振りではあるが、街の再建の進み具合がさらにそう感じさせるな」

ユトル  「イブンサフ。ミリステアの…イリスの現状は理解しておるな?」

イブン  「全て、とは言いかねるがな」

ユトル  「儂はあの子の心内を確かめた…(軽く手で制し)皆まで言わすなよ」

イブン  「そうか。あまり諸手を挙げて賛成するではないが……必要だと信じたのなら、ユトルを俺は信じる」

ユトル  「少なくとも彼女はガロードとの結婚を真に望んでいるわけではない。正しい領主の娘としての理想像を作ろうとしているだけじゃ。……と言う訳で、儂はガロードとの結婚をご破算にするように手を進めてきた」

イブン  「……そうか。 少し驚いたぞ」普通の顔だけど。

ユトル  「儂がそうするには理由が二つある。一つは無論、あの子の幸せのため。もう一つはこの街の幸せのため、あれに頼るようでは自立はならん」

イブン  「ふっ、厳しいな」

ユトル  「ここに……(一冊の古びた魔術書を取り出す)ユーヴァリフの残した偉大なる錬金術が記されておる。恐らくこれの研究を進めれば、簡単ではないが…財政難は遠からず解決する。しかし儂は、これを公表する気はない。少なくとも街の住民には。彼らには飽くまで自らの意思で、自らの力で街の復興を成し遂げて欲しいからじゃ。その萌芽はあるのではないかと、儂は信じている」

イブン  「それについては、俺からは何も言わん」

ユトル  「無論、儂は儂で出来ることをするがな(暫く本の表紙を眺めて、仕舞う)……そのためにこれからの半生を捧げてもいいと思っている。ヒューイ・レオルも、アレイオス・イリスも……等しく、ミリステアの目指すものを支えていこうとしているが」

イブン  「……」黙って聞いているよ。

ユトル  「果たしてどうかな。重責を担う彼らの立場では真実が見えていても……それを直視することが出来んかもしれん。だが儂はするよ。全ての者の幸せのために、ミリステアには本音を曝け出してもらわねばならん。それをさせることが出来るのは恐らく、このリアド大陸においてもお主だけじゃろう。イブンサフ・レーベンクイール……一役買ってはくれんか(頭を下げる)」



ユトルは深々と頭を下げる。



ユトル  イブンサフが何か言うまで顔を上げない。



そして、イブンサフの答えは。



イブン  「断る(きっぱり)」

ユトル  「……!」



誰がこの答えを予想しただろう?



ユトル  「………………」



ユトルは言葉なく、立ち尽くす。

一方、イブンサフの口からは言葉が続く。



イブン  「お嬢……いや、ミリアは素晴らしい人物だ。 天真爛漫で、純粋、何より周囲に愛されている」



堰を切ったように。



イブン  「先の騒動でも、街を守ったなんだと俺たちは騒がれたが、真に街について考えていたのはミリアだったろう」



ミリアに対する思いを。



イブン  「いつだって前を向いて、どこまでも自力で進んでゆける……その力を彼女は持っている、そして、今もさらに求めている」



かつて。



イブン  「ただ、今回は先を見つめすぎて一番身近なところを見落としている」



かつて、彼がこれほど雄弁であった事があるだろうか?



イブン  「俺は、彼女を守ってやるつもりでいたし、これからもそうだと信じていた」



彼の答え。



イブン  「……だがな、それは少しばかり違っていたようだ」

ユトル  「どう違っていたというのじゃ?たまには年長者の言うことを聴こう。教えてくれ、この小僧に」



それは……。



イブン  「俺は、彼女を守りたかったんじゃない……共に在りたいと願うようになっていた、らしい」

ユトル  「なるほどな(少し笑う)」

イブン  「森へ戻ったとき、皆への土産を考えていたのだが、ミリアについては悩まなかったのだ。その時は、特に考えもしなかったのだがな……」自嘲したように息吐いて。



とても不器用で、今更なもの。

最初から、分かり切っていた答え。



イブン  「ユトルは、比翼、という言葉を知っているか?」

ユトル  「うむ」

イブン  「俺の用意した土産は、これと対になるものでな」言って、自分音羽飾りを見せる。

ユトル  「『何のつもりで渡したのやら』と、あの子は言っていたよ」

イブン  「今までのことを思い出しているうちに、自分の感情という物を改めて知った」



分かり切っていたのに。

辿り着くまで、ずいぶんと時間がかかってしまった。



イブン  「……以前、ユトルに答えた言葉があったな。“感情に間違いはない”と」

ユトル  「よく覚えておるよ」

イブン  「……俺は感情で動こうと思う。これまでと、これからを、繋げる為に、だ」

ユトル  「イブンサフ、よく言った(肩を掴む)」

イブン  「だから……その役は買うんじゃない」



その答えを胸に、彼は宣言する。



イブン  「俺が、奪い取る」



力強く、きっぱりと。



ユトル  「フフフ……しかし分かっておるな。ガロードなぞ比肩すべくもない大物が後ろに控えておるぞ」

イブン  「……まさに、一世一代、だな」

ユトル  「(長い息をついて)…さて、そうと決まれば準備に入るかな。魔術師のやることは毎度決まっておる」

カイ  ついに愛が生まれたか……。

GM 長かったねぇ(笑)

ユトル  長かった(笑)



この後、ユトルはイブンサフに連動の魔法を掛ける。

おそらくは最後に立ち塞がるであろう人物に対抗する為に。



ユトル  結局、《護りの力場》と《覚醒》の組み合わせでいいかな?

イブン  それでお願い。



物語の結末は?



6日目:カイ




青き月のサリカ。

それは天空を守護する、記憶と信念の神。

赤き月のアルリアナ。

それは同じく天空を守護し、気まぐれと忘却を本質とする神。

……相反する双子の神。

だが、その二つの神に共通するものも、ある。

すなわち、愛の女神としての側面である。

刹那に燃え上がる激しい愛と、久遠に築かれる静かなる愛。

その違いゆえに。

婚姻の守護神として人が選んだのは青き月のサリカである。

その神殿はもとの姿を取り戻し、イリスの街にある。

明日、ここで新たな婚姻が結ばれる。

ある信念に基づいて。

だが、そこに思い出は……。



GM といったところで。サリカ神殿である。

カイ  ……今回の結婚式が真実の愛ならばまだよいのだけどなあ。

GM カイは式場の点検中かなぁ?式場の様子はまったく異常なし。

カイ  うーん、そういったのはレンにまかせて新郎新婦の警護をしようかな。

GM レンにお任せかい(笑)

カイ  奴隷の指輪の一件を聞いてからは気が気でないです(笑)

GM 君の思いとは無関係に、警備主任である君の元にはいろいろな情報が集まってくるわけですが。

カイ  「ここにねずみの穴が!?」とかですか?(笑)

GM 警備担当者のリストの写しとか。その中に、レクサールとかクラップといった見知った名前がある。……まあ、重要情報かどうかは微妙だけれど。

カイ  おや、なんとまあ……。

GM で、新郎新婦を警備するなら……どっちに行きたい?どちらでもいいぞ?

カイ  お、二人一緒にいないのか……じゃあミリアのほうかな。

GM 了解。



神殿の中央。

サリカ神の像がある祈りの間にて。

ミリステアは佇んでいる。



カイ  何を祈ってるのか……。



何か言葉を発するわけではない。

ただ静かに。

目を閉じて。

サリカの前に立つ。



GM 君が何も行動を起こさないのであれば、長い長い沈黙の末に……。

GM ミリステア「私は……貴方の使徒ではないけれど。私には信念がある。……守護したまえ」

カイ  「嬢ちゃん、いよいよ明日だな……」

GM で、は声をかけられて君の方を振り返ろう。

GM ミリステア「あら、御免なさい。気が付かなかったわ」

カイ  「いや、こっちこそお祈りの途中を邪魔しちまって悪かったな」

GM ミリステア「いいのよ、別に。たいした事を祈ってたわけじゃないから」

GM ミリステアは表情を引き締めて言います。

GM ミリステア「明日はよろしくお願いしますね」

カイ  「ん?ああ……まあ、そのあたりは、うん……ははは」ごまかし。

GM ミリステア「明日は大切な日……一日で、イリスの未来が決まります。本当によろしくお願いします」と、頭を下げる。

カイ  「どんな気持ちなんだい?俺はまだ未婚だからそのあたりわからんのだが……」



カイの質問にミリステアの表情が緩んで……。



GM ミリステア「……うーん。本音を言うと、ちょっと実感わかないかな」

カイ  「そうか……それでも人生で一度きりだ。大切にしろよ」

GM ミリステア「……ありがとう」



が、それもほんの一瞬の事。



GM ミリステア「こほん……警備主任さん。油を売っていては駄目ですよ」すぐにまた表情を引き締めた。

カイ  「へいよ……ところで、一つ聞きたいことがあるけどいいかな?」

GM ミリステア「何かしら?」

カイ  「この街の人たちは好きかい?」

GM ミリステア「当然じゃない」



ミリステアは胸を張ってきっぱりと答える。



GM ミリステア「大好きよ」



そこには一片の迷いもない。



カイ  「そうか……それを聞いて安心したよ。街の幸せは民にあり、だもんな。うん。」

GM ミリステア「……くすっ」

GM 君の台詞に思わず、ミリステアは笑みをこぼしますよ。

GM ミリステア「……ごめん、今の台詞。知り合いの言葉にそっくりだったから」

カイ  「へえ、その知り合いってのに会ってみたいもんだね」



彼は気が付いているだろうか?

その言葉を発したのは、今は亡きジェスタ神官だった事を。



カイ  「……指輪に気をつけろ。あいつの持ってる指輪はただの指輪じゃない。」

GM ミリステア「指輪、か……ご忠告、感謝します。でも、無用の心配よ。ミリステア・イリスはそんなものには……屈しない」

GM ……ふむん。事前に情報を与えられてしまったか。これでガロードの野望はついえたのぅ(笑)

カイ  ドレックありがとー!(笑)

GM ミリステア「……今日はもう休むわ。じゃあ、ね」

カイ  「……俺は偽りの愛なら止めるからな。」これだけ言って立ち去ろうかな。

GM ミリステア「あ、そうだ。ちょっと待って……」

カイ  「ん?」振り向く。



ミリステアは思い出したように、カイを呼び止め。

あるものを投げてよこす。



GM ミリステア「悪いけど、それ……捨てといて」



即座に背中を向け。

走って立ち去る。



カイ  ああ、話しかける前に逃げられた!?



投げて寄こしたのは、羽飾り。

……ほんの少しだけ、湿った羽飾り。



気が付けば、広間にはカイ一人。

いや。

もう一人……物言わぬサリカの像がカイを見守っている。



GM その羽飾りをどうするかは、君の自由だ。

カイ  「……サリカさんよ。頼むから真実の愛を見届けてくれ」羽飾りはポケットにねじ込もう。

GM では、これにて一先ず閉幕。



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