魔術師の重奏曲(ユーヴァリフ・カルテット)
〜古き楔の軋む時〜
第3楽章




遺跡最深部。

広大なる空間の中心に描かれた魔法陣。

その中央に剣を付きたてた姿勢で座す巨大な魔像。

聖鎧アレフ・ヌル。

それが今、ゆっくりと動き出す。



GM  おお、そうだ。魔方陣の方も不穏な輝きを放っておりますよ。怪しげな明滅を繰り返しています。

ユトル  おいぼれ人生最高の回転速度で脳内を回して辺りを分析。

GM  見る人が見れば、魔法陣が何かも分かると思うけどね。神秘学かな?

ユトル  いかん、1足りん。

GM  何らかの封印式が刻み込まれていると見た。……詳しい事まではよく分からん(笑)



魔像は剣を引き抜き、3人へと向き直る。



ユトル  「仕方ない、アレフ・ヌルに乗り込むしかあるまい…」 取り合えず中を見よう。全てはそこから。<ヴァルトニ>で近くまで寄って《透明壁》で中を感知、可能であれば《瞬間移動》で内部に移動。

GM  透明壁は有効だ。中の様子が見える。が、君が入り込めそうなスペースはない。ぴったりと、搭乗者ミリステアに密着……融合といってもいい形での搭乗となる

ユトル  融合…融合ね。練習はしておる。サヤのように《他者移動》で分離させられるかな?

GM  だが、戦闘中であることを忘れるなよ? 近付けば攻撃されるし、離れればペナルティは大きくなる。

ユトル  な……。

イブン  むううう……。



こうしている迷っている間にも、アレフは搭乗者の命を吸い上げる。

時間はない。

加えて、得体の知れぬ魔法陣が戦士たちの足を止めていた。



GM  ゴーレムはまだ魔法陣の中だ、ゆっくりこちらに歩いてきてはいるが。近付くのであれば、魔法陣の中に踏み込まねばならぬが?

カイ  魔方陣から出るのをまっていられないな。踏み入れただけでなんかあったら嫌だけど、ユトルを助けるために俺も近づこう。いざとなったらカバーリングだ



かくして、絶望的な戦いが始まる。

ユトルがミリステアを救出するまで、ただひたすらに耐える戦い。

ただ、耐えるだけ。

それが果てしなく困難だった。

実際、一撃でもユトルに攻撃が命中すれば戦いはそこで終わる。



イブン  攻撃は・・・きっとされない、ユトルには。

カイ  ま、まさか(笑)

イブン  奥義の間違った使用法だ!

GM  おおっ!?比翼で攻撃をひきつけるってか?



比翼幻舞には敵の攻撃を引き付ける、という効果がある。



ユトル  それは切実に助かるな(笑)だが、アレフ・ヌルの攻撃力は未知じゃ。下手すると死ぬかもしれんぞ…いいのか?

イブン  言ったろう? 己を滅す、と 「ユトル。これは一度しか出来ないだろうから・・・外すなよ。そして、助けてやってくれ」

ユトル  失敗したらイブンサフが滅殺されると言うわけか(汗)

カイ  「これ以上犠牲なんか出しちゃいけないんだ。だから頼むぜ、ユトル」



PC達は接敵する前に限界まで準備を整える。

《護りの力場》でカイとイブンを強化する。

《完全治癒》で怪我を治療する。

有利な位置を取りやすいよう、ユトルは《高速飛行》で飛ぶ。



GM  アレフ「生命体反応3……目標補足、殲滅します」



準備できたのはそこまでだった。

アレフの両腕が振り上げられ、その背中から二つ円筒形の物体が射出される。

無機質な声が響き渡った。



「レフトアーム、マナ・ブラスト

 ライトアーム、マナ・ブレード

 サブ・ウエポン、リサーチ・ボム

 ブレスト・ウエポン、ジェノサイド・カノン

 ……オール、グリーン」



イブン  「お嬢・・・いや、ミリア、今、助けてやる!」何処まで通じるかわからんが、一応剣は構えておく

カイ  こっちの準備もいつでもオッケー。いつでもカバーしてやるぜ

GM  では、アレフが君達に向かって突っ込んでくる!

GM  アレフ「エンゲージ!!!!」

カイ  そんな叫びを発するのか(笑)



アレフの足を止めるため、2人は魔法陣へと踏み込む。



GM  そういえば、2人は魔方陣に踏み込むか……なら、踏み込んだ瞬間に声が聞こえる。

イブン  声?



それは脳裏に直接響く声。

初めて聞く声。

だが、酷く甘美な響きを宿した声。



『無限の回廊を越えて良くぞ来た

 我は力なり

 無限の力なり

 汝欲するならば

 己が心に祭壇を築き我を称えよ

 汝欲するならば

 己が魂を祭壇にくべ我に捧げよ

 汝、欲するならば……』



GM  直訳すると、力が欲しけりゃそう言え(笑) ちなみに、この声にはいつでもこたえることが出来ます。

イブン  ……。

カイ  「あんたの言う強さなんていらないね!ここであんたを求めちまうと、隊長やサヤに申し訳がたたん!」



第1ターン。

行動順はイブンとカイ、ユトル、アレフ。

イブンの行動は比翼幻舞でアレフを引き付ける。

カイはカバーリングに備えて全力防御。

ユトルは《他者転移》に集中。

アレフは全ての兵装で攻撃。



イブン  じゃ、いきます。比翼幻舞!

GM  アレフ「エネミーパターン確認……生体反応からエルファと推定、ロックオン」

GM  もう、ばっきばきに効いてる。フェイントされまくり。攻撃は全部君に集中するぞ(笑)

イブン  あんま、嬉しくない(笑)



カイ、ユトルの行動は待機。

なので、アレフの攻撃が始まる。



GM  アレフの片腕は筒状になっている。光が筒に集まり、次の瞬間には爆発した!

GM  アレフ「マナ・ブラスト……ファイア」避けのみ有効、当たってたら21点のダメージ。

イブン  避け……(コロコロ)成功!

ユトル  素晴らしい……!

GM  アレフの剣が輝きを帯びて光の刃となる!

GM  アレフ「マナ・ブレード……スイング」普通に命中、(コロコロ)出目が走ってる。当たってたら41点!

イブン  「ぬううぅぅぅ・・・ぅぅぉぉぉぉおおおおおっ!!!」 重翼守、後退受け!1、3、1のクリティカル!

ユトル  格好良いぃ…!(笑)

カイ  運はこちらに向いてきている!

GM  光の刃を受け止めた!片手で受けたらへし折ってたんだがなぁ……だが、まだ終わらないぞ。

GM  アレフ「リサーチボム……ファイア」もう、避けしかのこってないだろう!1発が命中。もう1発がクリティカルだな。

カイ  ぬ・・・ダメージがわからない以上、最初のはカバーしたほうがいい?

イブン  頼む!

カイ  「こっちはまかせろ」では一発目にカバーリング、余裕で防いだぜ! クリティカル!

GM  クリティカルはダメージ2倍で、32点をプレゼント。イブンのバリアは吹っ飛んだな。

イブン  「っがぁ!!」クリティカルじゃしょうがない。転倒判定……あ、ふっとんだ。だが、1ターンは稼いだぞ!

GM  衝撃に耐え切れずイブンは吹き飛ばされた。並の人間なら跡形も無く消し飛んでいたであろう爆風。魔法の守りは、それを防ぎ、力を失った。

ユトル  『なんとまぁ、儂はこんなにも頼もしい仲間を持ったものだ…』



そして、魔法の発動タイミング。

果たして。



GM  で、最後にユトル爺さんの魔法が発動。

ユトル  よしっ! ちょうど成功じゃ。

GM  ちょうどではダメだ。融合している、物を外すのは難しい。

カイ  なんだってぇ!?

GM  鍵のかかったドアを外すだけでも結構なペナルティが来る。

ユトル  おーペナルティはいくら?(汗)

GM  以前にもよく似たこと(サヤの手術)の経験を考慮して……−3。

ユトル  くっ、きついな……。



第2ターンの開始。

イブンは膝立ち、ユトルは再度魔法に集中する。



カイ  ユトルをカバーリングできる距離に移動。で全力防御を選択っす 。

GM  アレフ「……抹殺します」では、カイに対して集中攻撃だ!

カイ  「この程度のことでぇ・・・!」 (コロコロ)

GM  よかったね。ブラストが地面を抉ってます(笑)

カイ  また一撃で吹き飛ぶところだった(笑)



防御の達人カイは全ての攻撃を凌ぎ切る。

再び、魔法の発動。



ユトル  儂の《他者移動》が16LV…距離が-2、難易度で-3…《飛行》と《護りの力場》の維持が更に-2…9か。(コロコロ)……ぐっ、失敗。

カイ  ……次のターンはもう思い切って力場と飛行の集中を切ってみたら?



第3ターンである。

圧倒的破壊力で迫り来る、聖鎧アレフ・ヌル。

その力たるや、名前の通りまさに絶対無限。

果たして3人は、これを止める事は出来るのか!?

その影で笑う、謀略の邪術師を阻止できるのか?



ユトル  フフ…気が動転しておるよ(うつろな瞳)

GM  まあ、恐怖判定を要求しないだけGMの良心と思ってくれ(笑)



ここで暫しの相談タイムである。



イブン  皆、どうする?・・・いや、どうしたい?

ユトル  このまま挑戦するしかあるまいな…。

カイ  このまま普通に挑戦するしかないんじゃないかな。とりあえず俺は全力防御でカバーできるようにする予定

GM  ちなみに、実際のところこんな化け物を動かし続けるのは……普通の人間には無理だ。だから、一時撤退して適当に逃げ回るという方法もある。

ユトル  しかし魔方陣放置すれば妖将は復活するわ、生命力がなくなってミリステアは死ぬわ、その選択肢はなかろう。

GM  後、もう一つ。先程から魔法陣の中にいるものに呼びかけ続けている声、これに答えると何かが起きるかもしれません。良くないことが起きるかもしれないし、良いことが起きるかもしれない。これに関しては……結果は全く分からない。



結局、このまま戦士がアレフの足を止め、ユトルの魔法に希望を託すこととなった。

このターン、イブンは姿勢変更ながら全力防御。カイも全力防御。ユトルは集中しつつアレフに接近。



GM  アレフ「ぶいぃぃぃん……抹殺します」ブレードをカイに振り下ろした。 普通に命中。

カイ  受けよう。隊長からもらった斧だし、折れることはないっしょ。(コロコロ)あぶねー……どうにか成功。

GM  アレフ「……射撃兵装による包囲網展開、抹殺」 イブンにブラスト&ボム2回……(コロコロ)うわっ!?ブラストクリティカルしてるよ。

イブン  ボムを重翼守で受ける……(コロコロ)受けきった!で、最後の白光を見て「・・・ここまでかっ・・・」覚悟を決めたところに・・・

カイ  ブラストをカバーします。力場があるから生き残る可能性は俺のほうが高い。

GM  カイのバリアは一瞬で吹っ飛ぶぞ。

カイ  「まだまだぁ!」ブラストは26点?ということは、HPに2点きた……。

イブン  「・・・礼は、こいつを黙らせた後で言う。死ぬなよ、カイ」アレフの動きに集中

カイ  「は、後でいやというほど言わせてやるよ」こっちもアレフに集中だ



これで、イブンとカイ両方を守るバリアが吹き飛んだ。

次に被弾すれば、命は無い。

しかも……。



GM  アレフ「……目標、今だ健在。通常兵装での殲滅は不可能と判断。ジェノサイド・カノンを開放します」

カイ  ……ナンデスカソレ?

GM  アレフ「胴部、装甲を開放……うぃーん」

ユトル  ………さて、覚悟を決めるか。



3度巡ってきた魔法の発動タイミング。



GM  目標は11!さあ、どうなる?

ユトル  「白き月の輪よ…!」(コロコロ)

GM  アレフ「砲塔を準備……がしゃん」

ユトル  「(出目を見て)ははは…ははははっ!!!!」



ダイス目は……。



GM  アレフ「ジェノサイド・カノン……エネルギー供給開始」

ユトル  「あーーーーははははっはっ!!!」



11を示していた。



GM  アレフ「……エネルギーロスト」

ユトル  「成功した…わ(膝から崩れる)」

GM  ぎりぎりやん(笑)まばゆく、マナが輝き、ユトル爺さんの前に気絶したミリステアの姿が現れる。



同時にアレフ・ヌルの動きが止まる。



GM  アレフ「全機能を停止して、セーフモードに入ります」

カイ  「……やったのか」

イブン  「終わったか・・・・・・?」

GM  君達の前で、圧倒的力を振るっていた、聖鎧アレフ・ヌルはその場に機能を停止した。

ユトル  「良かったのぅ…無事で(ミリステアの頬を撫でる)」

カイ  「よかった……一人でも助けられて……」

GM  ミリステアはかなり衰弱しているし、意識は無いようだけれど……命は無事だ。その場にあるのは……もはや動かぬ巨像と、荒れ果てた広間のみ。

イブン  あ、っと。魔方陣はどうなった?



実に良い質問である。

そう、物語はいまだ終わらない。



GM  え?魔方陣?床に描かれてましたからなぁ……戦闘中に言ったよねぇ、ブラストが地面を「えぐる」って。

ユトル  な……。

GM  魔方陣は先頭の余波で破壊され、いまや完全に光を失っている。

ユトル  「これは確か封印用の魔方陣じゃったはず(額から零れ落ちる汗を拭う)」

イブン  じゃ、もうひとつ。あの声はまだ響いてる?

GM  もちろん響いているとも。いまや、その声はこの場に居るもの『全て』に聞こえている。ユトルにも聞こえているよ。

ユトル  「貴様の声になぞ誰も耳を貸さん、大人しく眠れ妖将ヴェール・ゼール」



漠然とした焦燥感を抱えてたたずむ3人。

そこに、最後の役者が到着する。

コツコツと足音が響いていた。

現れたのは……。



GM  シャザック「ば、ばかな……聖鎧が……アレフ・ヌルが…有り得ぬ……」足音の正体はシャザックだ、身体を引き摺るようにしてこの場までやってきて……力尽きたようにその場に膝を着く

イブン  「幕は下りた・・・・・・それでもまだ続けるか?この、道化芝居を」

カイ  「これで終わりだ、シャザック。もう終わりなんだ……」

GM  ちなみに君たちはシャザックの傷が、僅かながら……意識を失わない程度に癒えていることに気がついた。誰が、その傷を癒したのか?また何の目的で癒したのか?

イブン  言わずもがな。そんなの、彼女に決まってるじゃん・・・歩いてここに来させる為に……。

ユトル  分からん…しかし、イザベラがなんのために今更奴を癒す?

GM  シャザック「……聞こえる、この声は……」



魔女の描いた妖将復活の絵図。

それは今、結末を迎えようとしていた。



ユトル  「貴様…受け入れたな!!」

GM  シャザック「力、力だと……それはどれ程の力だ?聖鎧程度ではもはやダメだ、人に敗れ去るような力ではダメなのだ……」熱に浮かされたように

ユトル  「やれ、イブンサフ!!カイでもいい…奴を止めるのじゃ!!」 誰も動かないなら儂が《慈悲知らぬ裁定者》を向けよう。

イブン  「・・・っち!」駆け寄る。

カイ  「はやまるな!」シャザックに体当たりをしかけよう。



突進するイブンとカイ。

しかし、2人は透明な壁に弾かれる。

形ある全ての物を弾く《物質障壁》の魔法。

ユトルの飛ばした魔法の武器だけが、それをすり抜けて攻撃する。



GM  攻撃は命中している、ダメージを!大ダメージを与えることが出来れば、この一撃でシャザックを倒すことが出来たなら……。

ユトル  ぐっ、いかん。ダメージは5点じゃ。

GM  それじゃあ倒れない。イブンとカイは見えない壁に阻まれているから……ここまでだな。ユトルには分かるだろう。《物質障壁》だ、この魔法を使えるのは……。

ユトル  「駄目か、イザベラァアアアアア!!!」



シャザックが声高らかに叫ぶ。



GM  シャザック「力を!ヴェール・ゼールよ!力をぉぉぉぉぉぉっ!」



そして、魔女が笑う。



GM  イザベラ「我が計略、完成せり」



悪魔という生物は、あくまで精神生命体だ。

肉体を持った生き物と融合することで初めてこの世界に実体を持つ。

それは、妖将といえども同じ。

今、ここで開放されたそれは、器を持っていなかった。

この場所に、受け入れるものが居なければ月へ帰還するほか無かった。

けれど……。



GM  ここに全てを失った者が、力を求めるものが居た。

GM  イザベラ「……悪魔の力は、宿った悪魔の格と宿主となった人間の実力で決まる」



いつから、そこに居たのか?



GM  イザベラ「ありがとう……貴方達のおかげで、貴方達がシャザックを完膚なきまでに打ち砕いてくれたおかげで」



魔女はこれ以上ない程、艶やかに微笑んでいた。



GM  イザベラ「最高の悪魔が、最高の肉体を手に入れた……」



今、真なる邪悪が目を覚ます。



GM  イザベラ「今こそ……我が悲願がかなうっ!目覚めよっ!ヴェール・ゼール!<壊焉>の妖将よっ!黒き月への扉を我が前にっ!」



今、真なる恐怖が動き出す。



イブン  無茶、かなぁ・・・

ユトル  「イブンサフ(ユヴァルブレードを放り投げる…全く根拠はない。じゃが、そいつを突き刺せば封印できるやもしれん」と言うか他に思いつかん(汗)

イブン  「・・・」受け取ろう。そして、剣を構えて、突撃!



シャザックの前に黒い霧のようなものが立ち込める。

黒い霧が竜巻のように吹き荒れ、誰も近付くことが出来ない。



カイ  ええい、壁があるとどうしようもない……。

イブン  それでもダメなら……。

ユトル  奴が御託並べてる間に魔法使ってもいい?(汗)

GM  使っても良いよ。

ユトル  分からん…何がいいのか。取り敢えず《護りの力場》か。(コロコロ)成功。



だが、魔法は発動する気配を見せない。



ユトル !?

GM  周囲のマナが、とんでもない勢いで失われて、ゼロとなったのだ。ユトルには目の前のそれが、マナを一瞬で食い尽くしたことが分かる。



目の前のそれ。

先程までシャザック・ベルゼリオンだった、何か。



GM  黒い霧の奥でシャザックが目を開く、その目に白い部分は無く……暗闇が其処にある。

GM  <壊焉>のヴェルゼ「我は目覚めたり、我は目覚めたり……」

カイ  「おいおい……なんだっていうんだよ」

ユトル  「……………(ごくりと唾を飲む)」

イブン  「・・・それが、貴様の大儀か、シャズ・・・」独り言

GM  <壊焉>のヴェルゼ「黒き牢獄を破り、無限の回廊を抜けて、我は目覚めたり……」

ユトル  「(瞑目して)いかん、どうする…どうすればいい」



暫しの静寂。



ユトル  「いや、もう一つ手はあるか…(アレフ・ヌルを見上げ)」

カイ  「……アレフ・ヌルを使うことか」

ユトル  「カイ、やるか?」

GM  ちょっとまった! 凄まじいまでの……もはや物質的な力すら秘めた圧力が君達にのしかかる。外見は、畏怖すべき美。これに成功しないと、動くことすらできない。恐怖判定をどうぞ。



畏怖すべき美の修正は−8である。

並の人間なら、目にしただけで意識が消し飛ぶレベルである。



ユトル  「う、動けん…」

カイ  修正−8って無理だべ……。

イブン  無理。



それぞれの恐怖判定の結果は……。



カイ  新たな癖を一つ得る、3ターン朦朧……。

ユトル  6点の疲労と5ターンの朦朧…致命的じゃ(汗)

イブン  5分・・・300ターン気絶(大汗)



戦うどころの騒ぎではない。

妖将ヴェルゼはその場に存在しているだけ。

それだけで、戦線は崩壊した。



GM  うむ、無理だろうな。ところで…激励がもらえるとしたら、誰のが欲しい?

イブン  1・シュナ、1・ミリア、3・カイゼルかな?

ユトル  激励がもらえるとすれば…シュナか。他におらん。

カイ  激励か……1番は隊長だけど、次点はレンかな。

GM  了解。



動けぬ3人。

イザベラは彼らを一瞥し、前へと出た。



GM  <壊焉>ヴェルゼ「久しいな<熱獄>のイルゼ……そして、その契約者。我を目覚めさせたのはそなたか?」

GM  イザベラ「その通りにございます……」片膝を付いて礼をとる。

GM  <壊焉>ヴェルゼ「願いを……古き盟約に従い、解放者の願いをかなえよう」

GM  イザベラ「月をっ!月への扉を我が前にっ!」熱に浮かされたような表情で

ユトル  「馬鹿なことは…止め……ろイザベラ…っ!」他に言うことがない!(泣)

GM  イザベラ「我が願いは黒き月へ至ることっ!」

GM  <壊焉>ヴェルゼ「なぜ、それを願う?」

GM  イザベラ「人は死して、何処に帰す?身は腐りはて土に返るだろう……けれど、魂は己が信ずる月へと至る。我が願いは……黒き月に至った、我が父に出会うことっ!ユトル・バイカンにより失った、我が父に出会うことっ!」



動かぬ身体を呪いながら、3人は声を張り上げる。



イブン  「誰でもいい、誰か・・・ミリアだけでも、この場から・・・!」

カイ  「くう……正気になるんだ、シャザック」

ユトル  「ベルゼリオン…サヤの想いを無駄にする気ぁぁあ!!!目を醒ませ、馬鹿者が!!貴様の愛するザノンを護れ!!今一度戦え!!!」



だが……。



GM  <壊焉>ヴェルゼ「承知した。月に至るが良い」優しげな表情でイザベラに手を伸ばす。そして、ヴェルゼが指をぱちんと鳴らす。



その瞬間、イザベラだったものは一瞬にして塵と化す。



ユトル  「………っ!」

GM  <壊焉>ヴェルゼ「死こそ、黒き月への扉なり……願いは果たされた」

カイ  「なんという……」

ユトル  この歳になって絶望を知るとは…。

GM  <壊焉>ヴェルゼ「ふむ……騒いでいるな、肉体の持ち主が。さあ、お前の願いもかなえてやろう……心残りを消してやろう、願いは何だ」自分の胸に手を当てています。

ユトル  「シャザック・ベルゼリオン、最期の闘いじゃぞ!」

カイ  「シャザァァック!」

GM  <壊焉>ヴェルゼ「……平和、恒久の平和をこの地に築くこと?」

ユトル  「そう、そうじゃ…お前の願いは…真の願いは……(泣き崩れる)」無理かもしれませんけど曲解されませんように(遠い目)

GM  <壊焉>ヴェルゼ「承知した……その願いは我がかなえよう」

イブン  あー・・・

GM  <壊焉>ヴェルゼ「さあ……この地に住まう全てのものを消し去ろう」

イブン  やはり・・・

GM  <壊焉>ヴェルゼ「争いの無い世界を完成させてやろう」

カイ  ぐへぇ……

ユトル  (汗)

GM  <壊焉>ヴェルゼ「さあ、滅びよ……」手を頭上に掲げ目を閉じる。



長い、長い時間が過ぎる。

けれど。



GM  <壊焉>ヴェルゼ「なぜだ……? 力が、術が振るえぬ……?」



ヴェルゼは怪訝そうに首を捻り、ある物に目を向ける。

その先には聖鎧があった。



GM  <壊焉>ヴェルゼ「そうか、まだ邪魔をするか……古の魔術師よ」

ユトル  「ユーヴァリフ?…」

GM  <壊焉>ヴェルゼ「死してなお、我が前に立ちふさがるか……よかろう、最後の楔を砕く程度に術などいらぬ。この肉体のみで十分だ」

カイ  そういえば、イザベラの持ってた宝玉はどうなった?

イブン  剣は俺が、鏡はユトルが持ってたような?

GM  宝玉か、宝玉はころころと転がって、ユトル爺さんの足元へ。



ヴェルゼの肉体がぼこりと膨れ上がる。

身体に無数の鱗が浮かび上がり、両腕には鋭い鉤爪が。

背中にはこうもりを思わせる翼が6対12翼

肉体は巨大化し、聖鎧に並ぶほどの巨大さとなる。

<壊焉>の妖将、ヴェール・ゼールが、今その真なる姿を表した。



GM  さて、ここで……。何か一言ありますか? かっこいい台詞でも、へたれた台詞でもなんでもいいぞ(笑)

イブン  意識回復してイイですか?(笑)

GM  回復したかったら格好良く決めろ(笑)



カイ  「……シャザック。お前の意志は貫き通してやるよ。今度こそ終わりにしてやる!だから隊長……今一度俺にみんなを守る力をお貸しください……」

GM  では、カイがそう口にした時。君の背中を誰かが叩いた、そんな気がした。

GM  『ジェスタは境界を定めたもう。其は絶対の境なり。我らは猛きジェスタの使徒。我らに阻めぬものは無し……お前は何の盾となる?』

GM  それは君がジェスタ信者になったとき、最初に問われた言葉。神官であるガッシュが君に送った言葉だ。

カイ  『俺は……俺はみんなの笑顔を守るための盾になりたいんです!』

GM  この言葉に対する答えがある限り、君はまだ戦える。君は恐怖を振りほどき、立ち上がった。斧が『守護者の鋼刃』が今までで最も強い輝きを放っている。



イブン  『・・・力ではなく、笑顔で勝ち取る平和こそ、尊いものであると気付かぬか・・・仮面の道化』

GM  イブンは心の中で好敵手に呼びかけ続けていた。けれど、その言葉は届かない。言葉だけでは届かない。そんな時、現実的な痛みを伴った衝撃が君の頭を襲う。それが君の意識を夢の中から引きずり出した。目の前に居るのは……。

GM  ミリア「このバカっ!何時まで寝てんのよっ!さっさと起きなさいっ!あんた……アタシを助けに来たんじゃないの?何こんな所でびびって気絶してんのよっ!」

GM  ぽかぽかと、頭を叩く彼女の姿が目に入る。

イブン  「・・・っぐ。 痛いではないか」

GM  ミリア「……起きた?起きたら早いとこ、あいつを倒しちゃいなさいっ!カイ君はもう行っちゃったわよっ!」

イブン  「ミ……お嬢こそ、起きたなら早くここから逃げろ、この場は危険・・・」言って、周りを見渡す

GM  目の前には異形の姿となった悪魔がいる。そして、カイがゆっくりとそちらに向かっているね。

GM  ミリア「遅れをとるなっ!イブンサフっ、あんたは最強の剣士なんでしょうっ!」ミリアは君を強引に押し出す。

イブン  「ああ、そうだな・・・」両手の剣を構えるよ

GM  ミリア「あたしは知ってる……あんたが最強だって。だから……あんなのに負けるな」

GM  君は両手に剣を携えて、歩き始めた。



GM  君の脳裏に、先程の妖将の言葉が木霊する。

GM  『さあ……この地に住まう全てのものを消し去ろう』

GM  そういわれた時、君が一番に思い浮かべるのは……弟子のシュナだ。シュナと共にすごした日々が、シュナと共に歩いたイリスの町並みが、このままでは失われる。

ユトル  『シュナを弟子にとったとき、あぁ儂も歳を取ったかなどと…呆けたことを感じたものじゃな、今思えば』

GM  君は約束したはずだ。無茶なことをせず、生きて帰ると……けれどこのままでは。全ては失われる。

ユトル  『そう、儂は生きて帰るよシュナ。もう一度この手にお前を抱こう』

GM  そんな時、君の魂に直接語りかける者が居る。

GM  『そなたに大切なものがあるならば……我と共に戦い、勝利し、そして、約束の場所へと帰れ』

GM  初めて聞くはずの声。それなのに懐かしく親しみを感じる声。

GM  『白き月の輪に終焉はない……その力に限りなど無い。我と同じ名を魂に刻むものよ、我に答えよ』

GM  声の元は君の足元、紫の石、ユヴァル・ストーン。 石が今、凄まじい魔力を放っている。周囲からはマナが失われている、けれど、これがあれば……。

ユトル  闘える、か。『よかろう…名こそ存在。我が名はユーヴァリフ(深く頷いて隻眼を開く)』

GM  『汝は妖将を討つ業を背負うものなり……』



石の輝きに呼応して、他の魔器も光を放ち始める。

ユトルの懐で鏡が。

イブンサフの手にある剣が。

そして、3人の背後に座す鎧が。

今、4つの魔器が共鳴していた。



GM  アレフ「ウィーン……正式登録者の存在を確認、対悪魔結界『白の界』を展開します」

GM  ヴェルゼ「この結界は……妖術が使えぬ、か」

ユトル  さて、行くかな。正真正銘のラストバトル。

イブン ブレードは持っていて良いの?

GM  うむ。ちなみにユヴァル・ブレードのスペックは最上質の剣に、確かさと鋭さが+2された代物だ。



聖鎧アレフ・ヌルを破壊しようとするヴェルゼの前に3人は立ち塞がります。



GM  ヴェルゼ「さあ、破壊してやろう……む?小さきものよ、何のつもりだ。よもや……我に挑むつもりなのか?たったの三人で?」 聖鎧を破壊しようとしていたヴェルゼは君達が向かってきたのを見て怪訝そうな表情だ。

ユトル  「くくっ、そのたかが三人がこれまでどれだけの奇跡を成し遂げてきたか…できるよ、今回も(肩を揺らして笑う)」

カイ  「その言葉あとで後悔させてやるよ……人間が三人集まったときの力ってのを見せてやるよ!」

GM  ヴェルゼ「……我を討てると、思うてか?卑小なる者よ」

イブン  「・・・その身一つでは何も出来ぬ化生が、何をほざく。大口がどちらか、直ぐにわかる」魔剣を突きつけよう。

GM  ヴェルゼ「……幾千年たとうと人の愚かさは換わらぬと見える、どれほど力があろうと、その人数で……」



ヴェルゼがその言葉を最後まで続けることは出来なかった。



GM  レクス「ふっ……3人だけでは無いぞっ!ここに今、何人の英雄が集っていると思うっ!」

ユトル  「(振り返らずに<ヴァルトニ>で見る)……きおったか(笑)」

GM  クラップ「おーおー、なんや、どえらいのがおるなぁ……あれが革命軍の切り札っちゅーやつか?それにしては……」

GM  コントラクターズ「社長!あ、ああああれ、悪魔、悪魔ですよぉぉっ!」

GM  クラップ「どあほっ!ああいうのこそ、稼ぎ目や、気張らんかいっ!」

ユトル  クラップ格好いいなぁ(笑)

GM  エルバルト「よー、お三方……一応、援軍到着……で、何あれ?倒すの?めんどいなぁ」

GM  アナスタシア「ダーリン待たせたねっ!……行くぞ野郎どもっ!」

カイ  アナスタシアは凛々しいなあ(笑)

GM  山賊たち「……こ、こえええ」「マジでやるの?」「いや、ここでいかなきゃ、お頭のほうがこえぇ」

イブン  見知らぬ鬼より、古女房(笑)

GM  ジェスタ信者「なんだあれはぁぁぁぁぁっ!?」「みりゃ分かるだろう、悪魔だ」「ふっ・・・倒すのみ」

カイ  相変わらず渋いのが一人(笑)

GM  ……と、まあ、最後なので、お仲間達がみんなわらわらと集合してきます(笑)

GM  ヴェルゼ「……いくら集まろうと、人は人……何時の時代でも人は無力なもの。其れを教えてやろう」

イブン  「それこそ教えてやろう。人とは立ち止まらず、いつでも前に進む者達だと言うことを」

カイ  「教えてやろう。俺たちの……想いを!」



……次回、いよいよ最終決戦である。



GM  ところで、ヴェール・ゼールのCPを公開しようか?(笑)

ユトル  聴きたくないけど知りたい(笑)

GM  1000(爆)

一同  ぎゃー!(悲鳴)



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