冒険者達の序曲(プレリュード・オブ・アドベンチャー)
〜イリスの街のある一日〜



さてさて、黒ミサ会のルナル・サーガ・リプレイの開幕です!

ただし、今回はプレイヤーたちがシステムになれるためのシナリオ。

戦闘訓練やってたり、魔法を試してみたりと、本編とはあまり関係なかったりします(笑)



戦闘訓練その1、イブンとカイの練習試合




ここはイリスの街、その中央を通る大通りにある魔法屋『バイカン工房』の裏庭。

そこで二人の若者が武器を構えて対峙しています。



イブン  ……よく来てくれたな。今日はよろしく頼む(右手を出す)



一人はエルファ。

緑の髪に緑の瞳、両手にはそれぞれ片手剣が握られています。

彼の名はイブンサフ。

カアンルーバ氏族に身を置く剣の達人。



カイ  ああ、よろしくな(ぎゅっと握り返す)



もう一人は人間の若者。

ジェスタ神の紋章が刻まれた鎧を着込み、メイスと盾を構えています。

彼の名はカイ。

青き月の神、ジェスタを奉ずる若き戦士。



ユトル  儂が立ち会おう。二人とも正々堂々と闘うようにな。



そして、もう一人。

初老の男が二人を見守っています。

隻眼の魔法使い、ユトル。

ここ『バイカン工房』の主であり、優れた魔法の使い手。



カイ  もちろんさ、おっちゃん。戦いのルールは守るぜ。

イブン  (両腰から抜いて)合図を……。

カイ  メイスと盾を構えつつ「いつでもいいぞ……」

ユトル  さぁ、向き合って獲物の柄に手を…(両手で制す)。



今、優れた技量を持つ二人の戦士が互いの技を競い合おうとしています。



ユトル  まぁ、この人数なら移動力順に行動してもいいような気はするんじゃが。今日のところは一般的なルール(1D6を振り高い方が先行)でいくとしようではないか(すっと片手を挙げる)



イニシアティブの結果はカイは5、イブンは3。

カイが先攻です。



カイ  がーん、先手をとったら相手の出方を伺う作戦がとれないじゃん……。

イブン  うぐ……これはつらい



先手を取ってしまって困るカイと、取られて困るイブン(笑)

なお、勝負は一足刀の距離(接敵状態)で始まります。



カイ  「うっしゃあ、行くぞぉ!」と言いつつ普通に攻撃。

ユトル  殴れぃカイ(笑)

イブン  ……っこい!(剣を十字に構える)



カイの攻撃は命中!

しかしイブンも剣での受けに成功します。



カイ  「ちっ、やるな……」これでメイスが非準備状態に。

イブン  つ……なかなかに、重いが……今度は……

カイ  パリイングハンマーだったら剣を折れたかもしれないのに……高いから買えなかったんだよね。



今度はイブンの反撃です。

イブンサフはルナルでは珍しい二刀流(オリジナルの流派)の使い手。

両手の刃が同時にカイを襲います!



イブン  「(左手の剣を後ろに引いて)・・・ふっ!」通常攻撃です。

ユトル  おや、フェイントはせんのか。

カイ  「なんのこれしき!」盾で止めます。11!がっちり止めました

ユトル  まだ終わっておらんぞ、そやつは二刀じゃ(笑)

イブン  次「(体を反転しつつ)はぁぁっ!」右の通常攻撃ー 。

カイ  「げ、二回攻撃!?」メイスを準備して受けます。

ユトル  自分のターンにならんと準備は出来んぞ。

カイ  おっと、ジェスタ信者とはいえすぐに構えなおすのは不可能か。よけます。 11「あぶねぇ、あぶねぇ」回避成功。

ユトル  フフっ、儂の強化したスケールアーマーが弾いたな。

カイ  受動防御+1の鎧に、能動防御が+1される戦闘即応……すてきだ(笑)

ユトル  もう少し時間があれば盾にも強化できたんじゃがな(義眼を掌の上で転がしつつ)



実はカイとイブン、それぞれ魔化屋のユトルが作った武具を身に着けています。

カイは鎧、そしてイブンのアイテムは……シナリオ中でそのうちわかると思います(笑)



イブン  「(油断なく構えながら)……意外と動くな……だが次は……」



2ターン目、今度はイブンが先攻をとりました。



イブン  「(体を捩って、剣を相手から隠しながら)……そろそろ俺の剣の一部をお見せしよう」フェイント、通常で。

カイ  メイス構えて全力攻撃(フェイント→攻撃)で。



イブンサフの使う剣はフェイントソードと呼ばれる、カアンルーバエルファの特殊武器!

その名の通り、フェイントをするために作られた剣。

達人レベルのイブンが使うと……。



イブン  「(すくい上げるように左を叩き付ける)……っしぃ!」フェイント、成功度は10!

ユトル  むっ、速くて見えん(笑)

カイ  「く、ちょこまかと……!」フェイントを見切ろうとしますが……そりゃ見切っても意味なさそうだ(笑)武器技能も盾技能も16だから、16−9の……成功度は7

ユトル  おぉ、大分見切ったな。

イブン  フェイントは半成功 次の受けには−3の修正・・・まあまあかな。「(左を追うように、右を斬りつける)・・・・絶っ!!」通常斬り〜 。

カイ  全力攻撃だから7−3で4がでないと避けれない(爆)



カイ、ピンチです。

しかし……。



イブン  あ、いや、攻撃外れたわ(笑)

カイ  やったー(笑) 「おっとっと……自分でふらついてるようじゃまだまだだな!今度はこっちの番だ」

ユトル  これは、意外といい勝負か。イブンは一撃でも当てられればきついが。

イブン  「……く…衝撃が残っていたか……だがっ!」

カイ  まずは準備。これに失敗すると全てが無駄になる。……成功、「よっこら……せっとっと!?」フェイント〜、成功度は8です。更に……「これでもくらえっ」メイスで攻撃。

イブン  成功度は6 「……ぐぅっ」受けます。出目は8!受け成功!

カイ  「やるじゃねぇか……」

イブン  「(微かに唇を歪めて)……虚に対しては、こちらに一日の長がある……」

カイ  「パワーじゃ俺……。技術は拮抗ってところか」



そして、3ターン目、今度はカイが先に行動します。



カイ  じゃあまずは準備、そしてメイスアタックぅ!命中。

イブン  「・・ふんっ!」受けを……成功。

ユトル  ふむ、やるかやられるかになってきたの。

イブン  普通に2回斬り攻撃。「……!(無言で切りかかる)」斬り攻撃〜!命中。

カイ  げふ、止め失敗。

イブン  ファーストヒット、ゲット(笑)ダメージは8点の切り。

ユトル  うむ、3点通ったな。

カイ  「く、まだまだぁ!」防御点で止めて2点。その5割増しだから3点か。余裕余裕

イブン  「(相の剣が、顎を閉じる様に斬りつけられる)……じゃっ!」もういっちょ、斬り攻撃〜命中っ

カイ  「くぅ!」その一撃はぎりぎりジェスタステップで回避。

イブン  「(少々あきれて)……頑丈だな」

カイ  「(ステップを踏みながら=ふらつきながら)おっちゃんのお陰だけどな」

ユトル  <防御>が2点魔化されておらんかったら6点のダメージじゃったぞ。いくら我慢強くても転倒判定を強いられておったところじゃ。



第4ターン、どうやらイニシアティブはカイに流れが来ているようです。

イブンサフ、毎回賽の目が走らず(笑)



カイ  今度も先手はいただきだー。

イブン  ……俺がなんかしたか?(賽の目を見て)

カイ  フェイント攻撃でいきます。まずは準備、成功。「うりゃっ……とみせかけて一回転!」フェイント〜。……う、成功度3です。

イブン  「……こいっ!」成功度7〜「……見切った!」今、きっと、某ロマサガっぽく頭上に電球が(笑)

カイ  うわーん、フェイントの意味がないぃ。「見切られたか……だが!」攻撃ー、命中ぅ。

イブン  「なんのっ!」受けー……失敗〜、やばい、考えるだに恐ろしい(笑)

カイ  「もらったぁ!」7点!でも叩きだからダメージにボーナスがないんだよな……。

イブン  5点?!半分来たっ!転倒判定……成功(ほっ)

カイ  防護点の差は大きいですね(笑)



守りのカイに対して、攻めのイブン。

二刀流にCPを取られて実は守りが甘かったりします。

……GMが言うのもなんですが、ほんと、そーとーに脆い(笑)



イブン  「……うぅ(頭を振りつつ、ふらふらしている)」



勢いに乗ったカイ!5ターン目に一気に畳み掛けます!



カイ  「これで……眠りな!」 あてました!



勝負はここで決まったかに見えました。

しかし!



イブン  「ぐぅっ(よろめきながら剣を構える)」受け〜。 1 、 1 、 2 !

カイ  それってクリティカル!?(爆)

イブン  く、クリティカル受けっ!ファンブル表を振ってくれ(笑)

カイ  あ、防御者がクリティカルした場合は、攻撃者がファンブル表を振るんですね……理不尽だ〜(笑)



GURPSの判定は3D6を使用します。

3D6を振り、この出目が目標値(普通は使用する能力or技能値)より小さい場合には行動は成功。

当然、出目が小さいほど高い成功を示したことになります。

そして、極端に小さい出目(通常は3or4)で成功した場合、クリティカルとなる。

また、極端に大きい出目(通常は17or18)で失敗した場合、ファンブルとなるのです。

それはさて置き、今回のファンブル結果は……。



イブン  前後(ランダム)に武器が飛ぶ(笑)

カイ  じゃあ「1、2、3」で前方、「4、5、6」でユトルのほうに飛ぶことにしましょうか……「あ」メイスがユトルのほうに!(笑)

ユトル  瞬間回避(笑)霞むように消えて回避……馬鹿もん、何をやっておるか!

カイ  「うおぉ、すまん、おっちゃん!」回れ右して土下座したい気分(笑)



6ターン目、戦闘は武器を拾った状態から仕切りなおしとなりました。

まあ、戦闘になれるための模擬戦ですからねぇ(笑)

さて、イニシアティブは相変わらず……。



イブン  ……勝てねぇ(笑)



更に戦闘は続きます。

そして数ターン後……。



カイ  フェイント即アタック、成功度は5。 「いまさら止まらんぞぉ!」攻撃〜!

イブン  成功度3!

カイ  ということは−2……ないよりマシか。えいっ、手堅く当ててみました。

イブン  受けっ…… 失敗!

カイ  お、当ててしまったか。フェイント効果があった(笑) 「これで……最後だぁ!」12点のダメージ!

イブン  うう、致死ダメージ……までは行かないが、とんでもないな。



どうやら今日の稽古は軍配がカイにあがったようです。



ユトル  今日はここまでにしておくか?(イェーカー(ユトル愛用の空飛ぶ杖)を支えに玄関の石段に腰掛けている)

イブン  「(剣を下ろさず)俺は構わないが……どうする?(目でカイに訊ねる)」

カイ  「俺もかまわないぜ。いくら真面目に勝負といっても殺し合いしてるわけじゃないしな(メイスを収める)」

ユトル  ふむ(立ち上がる)良い立会いじゃったよ。



戦いが終わりユトルが二人の怪我を治療します。



ユトル  ほれ、今日はもう寝るとしよう。二人とも全快。

イブン  「……ありがたい(ユトルに目だけで礼をする)」

カイ  「なかなか楽しかったよ。続きはまた今度な」

イブン  「……そうだな。まあ、またいずれ。とりあえず、今日はありがとう。いい訓練になった(納刀する)」

カイ  ああ、そうだな。おやすみ、おっちゃん、イブン。

イブン  「お休み……岐路、気をつけてな」



戦闘訓練その2、イブンの夢




三人はそれぞれの家に帰り、ゆっくりと休むことにしました。

その夜、イブンサフは夢を見ます。



GM  さて、イブン君。君は今故郷の森にたたずんでいる

イブン  (たたずんでいる・・・・フム)

GM  もう少し歩くと、広場に辿り着く。その場所は……君にとってものすごーく嫌な場所かもしれない。

イブン  (とりあえず広場は考えないで、ナイフ投げの練習でもしていよう)

GM  そりゃあ、もう、とんでもなく嫌なことが待ってるに違いない(笑)

ユトル  (爆笑)

GM  付き添いの人「さあ、イブンサフ進みたまえ。そこで最後の試練に打ち勝てば君も立派な『緑の兄』だ」

ユトル  きっと祭りがあるんだな。血祭り(笑)

イブン  (ああ、なるほど・・・・)

GM  付き添いの人「恐れる必要はない。君の剣の腕は誰もが認めるところだろう?」

イブン  「・・・・恐れは、無い。が、心配が無いわけでもない・・・・」

GM  というわけで、一番、無理かもしれないけど逃げる。二番、地獄への片道を進む。三番、諦めて死んだふりする。さあどれだ(笑)

イブン  「いつだって、飛び込まなければ、得られるものも無いんだ・・・ならば道は先にしか無かろう……そのための、わが流派だ」

GM  風は途絶え、獣の気配は消え、森は静まりかえっている。君の決断を待つかのごとく……

イブン  というわけで、2番にファイナルアンサー(笑)

GM  付き添いの人「そうか。では進みたまえ……そして死力を尽くすが良い……まあ、死なない程度に(ぼそっ)

ユトル  (抱腹)…やべ、付添い人の本音がツボ入ってた(笑)

GM  君が先に進むと……次第に木々の数が減り、やがて広場に辿り着く。

イブン  今、付き添いが判定に成功すると、脂汗を掻いてるのが分かる・・・はず(笑)

GM  そこは君が幼きころより修練を重ねた場所だ。そこで待っていたのは……。

イブン  あー。柄に手をかけて、いつでも抜刀できる状態ですー。

GM  カイゼル「かかかっ!きやがったよ、よく逃げなかったなぁ!イブン!」

イブン  「・・・・絶好調だな、兄弟子よ」

GM  抜き身のフェイントソードを両手にぶら下げて下品な笑い声を上げているヤツがいるぞ〜。

GM  カイゼル「ん〜、まあなんだ。この俺様がじきじきに試しの儀式をかってでてやったんだ、泣いて感謝しろ。かかかかっ!」

イブン  説明しよう!イブンサフには越えるべき壁!もはや宿敵とも言える兄弟子がいるのだ!

GM  君の目の前に立っているのは間違いなく、部族最強の男だ。君はこの男を超えなくてはならない。

イブン  「感謝はするが、泣いてはやれんな。・・・・どうせ「面白そうだ」とか言って、割り込んだのだろう?」(言いつつも、油断なく構えている)

GM  最強なんだけど……あまりにも性格が悪くて導き手には選ばれなかったという、いわくつきの人物だ(笑)

イブン  いわくって言うよりも、札付きの人物だーね。

GM  カイゼル「可愛げのねぇやつ〜、面白くねぇなぁ」剣をぶらぶらさせている

イブン  「それはお互いさまだ・・・・」

GM  カイゼル「さて冗談はこの辺にしとくか……」にやりと笑って、剣を構える

イブン  (すら、と剣を抜こう)

GM  カイゼル「我はカイゼル。エメルの森にて梟とカアンルーバを崇めるレーベンクイールにて円環をなす者なり」

イブン  「我はイブンサフ。エメルの森にて梟とカアンルーバを崇めるレーベンクイールにて円環をなす者なり」

GM  カイゼル「緑の兄として弟を試す」

イブン  「全力を以って試練に立ち向かわん」

GM  カイゼル「……かかってこいや!」

イブン  「尋常に・・・勝負っ」

ユトル  イブンサフ、生きて森を出て来るのじゃぞ(笑)



前置きが終わったところで、再び戦闘である。

イニシアティブは、イブンが4のGM2。

イブンの先行である。



GM  カイゼル「てめえの技、見せてみなっ!」二刀流で攻撃?それともまずはフェイント?

イブン  攻撃で。もちろん二刀流。まずは……(踏み込んで右を振るう)「……ぜっ!」命中。

GM  カイゼル「まあまあ、だな」カチンと受けた。

イブン  (もう一歩、回り込むように踏み込んで)「がっ!」こっちも命中

GM  カイゼル「踏み込みが甘ぇ……」キイィン

イブン  「・・・っち」

GM  カイゼル「せいっ!やっ!」反撃だ。二つの刃が同時に襲い掛かる。一撃目〜!5、1、 4で10。命中だね

イブン  ……16、受け失敗。



もともとカイゼルとイブンには大きな実力差があります。

この差を埋めるのはかなり大変……。



GM  2、2 、2で6。くりてぃかる〜!効果は相手の防御点無視。



おやぁ……?

クリティカルの発生は本来3と4のみ。

けれど、判定者が高い技能を持つ場合は5や6もクリティカルとなるのです。



イブン  どーにもならいでかっ!(笑)

GM  両方とも切りでダメージは11点、片方がダメージ無視……終わったか?

イブン  修正込みで13点と、16点……死んだんじゃないか?

GM  カイゼル「……これが本物の二刀流ってヤツよ」

イブン  (地面に転がったまま)「・・・・化け物め」

GM  君は薄れ行く意識の中で、その化け物じみた太刀筋を目に焼き付けたのだった。そして君は目を覚ます。これは何度も繰り返し見た夢だった。



イブンがこの夢を見たのはカイとの激しい戦いを行ったためなのでしょうか?

繰り返し見る夢。

彼はその夢を見るたびに何を思うのか……。



GM  あの後、君は死線を彷徨い、かろうじて生還した。生きていたのが不思議なほどの怪我だった。そして、奴は君にこう言った

GM  カイゼル「てめえは強い。この俺様ほどじゃねぇが、な。何がたりねぇかって言うと……ま、実戦経験ってヤツかね?つーわけだから、外の世界にいきな。俺に勝てるくらい強くなったら……帰ってこいや」

イブン  (ギリ、と奥歯をかみ締め)「……ああ、なってやるさ。待っていろ」と、ここであまりの空腹に気を失うのであった(笑)



イリスの街の小さな揉め事




新しい一日が始まります。



GM  リアド大陸で最も大きく古い国ザノン、その辺境にある港街イリス。バイカン工房はその大通りにある。非常に立地条件に恵まれている……にもかかわらず、客はあまりいない。

GM  シュナ「イブンさーん、起きてますかー」とんとん



シュナ、彼女はウィザード見習いの女の子。

魔法使いユトルの弟子にして、イブンサフの世話役(笑)



GM  とても可愛らしい看板娘までいるのに、客はあまり来ない

イブン  「・・ああ、起きてる・・・入ってもいいぞ」

GM  シュナ「よかったぁ。実は今からは配達に行かなくちゃいけないの……でね、店番お願いしていいかな?」手にはパンやら果物やらが詰まったかごが(笑)

イブン  「了解だ……荷物は下に?」(いつもの戦闘服、装備の上から……お店のエプロンを被るイブン君だった)

GM  シュナ「お爺ちゃん、朝から工房にこもりっぱなしで出てこないし。頼める人イブンさんしかいないの」といっております。

イブン  「ふむ……届け先はいつものか?……それにしても、ユトルにも困ったものだな」

GM  シュナ「あ、荷物はたいした物じゃないの。光が魔化された棒で……」ま、ルナル版の懐中電灯?「別に急ぎってわけじゃないんだけど……早めに届けたほうが喜ばれるでしょ?」

イブン  「ああ・・・そうだな」(といって、シュナの頭を撫でる)

GM  日ごろ客の来ないバイカン工房にも依頼はたまにくる、ほんと、たまにだけれど。

イブン  零細弱小企業みたいなもんだな(笑)

GM  シュナ「サービス良くして少しでも稼がないとね!」 たまに売れる魔法の品で十分生活できるのがバイカン工房のすごいところだったりするのだけれど。

イブン  ひとえに、シュナ大蔵相の手柄だと思うが?

GM  シュナ「じゃあ、行って来ますね。そのかごの中身、お爺ちゃんとイブンさんの朝ごはんだから食べといてくださいね」

イブン  「ありがとう……俺の分をいただいたら残りは工房に運んで置こう」



イブンが店番に付き、午前中が過ぎていく。

……客は来ない。

そして、シュナはまだ帰ってこない。



イブン  「…………」(腕を組んで、カウンターに座ってる)



さらに時間が過ぎていく。

……やっぱり客は来ない。

実にのどかな昼下がり。

いつもなら剣術の訓練でもしてる時間か。

シュナはやっぱり帰ってこない。



イブン  「……………………」(微動だにしていない)



更に更に、時間が流れた。

……日はすでに傾き、空は赤く染まりつつある。



イブン  「……………む? 寝てたか」(腕を組みなおす)

GM  結局、丸一日。訪問者は人間0名、猫2匹ってところだった。シュナは未だに帰ってこない……のだけれど?

イブン  「遅いな……だが、動けん……むぅ。ユトルもこもったきりで……早いが店を閉めて、迎えに行くか」

GM  「た、大変だ、大変だ、大変だよぉぉぉぉぉ!」君が店を閉めようとしていると、彼方から大声を上げて店の方に駆けてくる来る若者の姿が。

イブン  「どうした……落ち着け」(ゆっくり振り返る)

GM  レン「ユトルさん!ユトルさぁぁぁぁぁん!」店に転がり込んできたのはレン・ジベリン、という若者だ。

イブン  「彼なら工房にこもったっきりだ・・・・何か用か?」

GM  この工房に出入りする数少ない人間の一人である。まあ、お得意さまであり、シュナ親衛隊の筆頭でも(そう!シュナはかなりの美少女なのである!)あり。

ユトル  なんじゃ、騒々しい(ばたん)

GM  レン「シュナが、シュナが港で変な奴らにっ!ど、道具っ!あいつらを追っ払える道具が欲しいんですっ!」

ユトル  港じゃな?レン、場所を詳しく教えろ(詰め寄る)←テレポートする気です。

GM  レン「えっ、えっと……港の、人魚の竪琴って名前の酒場で、えっと……」

ユトル  聴いた瞬間にテレポートを試みるよ。…あんまり遠かったら飛んで行くけど(笑)

GM  場所は……知っててもいいや。距離的にはここから1キロほどだ。

イブン  「行くのか?……だが、閉店作業が……」

ユトル  馬鹿もん、そんなことはどうでもいい!(喝)



シュナはユトルの「足手まとい」でもあります。

彼にとり、シュナは誰よりも大切な相手なのです。



ユトル  翔けよイェーカー!(杖を振りかざす)

GM  ではユトルは用心棒の首を引っつかみ、魔法の杖を使って港のほうへと急ぐのだった

ユトル  と言う訳で、発電のエネルギーで飛ぶ。時速120kmで(一応、イブンサフの首根っこは掴んでおこう)。

GM  レン「ユトルさーん!僕も一緒に……」

ユトル  重過ぎるから無理(笑)



イェーカーは魔法の杖である。

高速飛行の魔法が魔化された一品です。



GM  高速飛行で飛ぶことしばし、目標の建物は見えて来た。『人魚の竪琴』シュナがよく歌いに行ってお小遣いを稼いでるところである。(シュナは美声の持ち主で歌が得意なのである)

ユトル  ここじゃな(舞い降りる)……さて、(眼帯を外し、ヴァルトニを取り出す)



ヴァルトニ、日ごろユトルの義眼として使用されている魔法の道具。

それにはかなり多くの探知系魔法が魔化されています。



ユトル  透明壁と隠匿看破を常動にしておる。中はある程度見えるぞ。

GM  店のつくりはかなり立派で、客層も悪くないはずなのだけど……。

イブン  「彼女に危害を加える者がいるなら、躊躇う必要もあるまい……」(自分の得物に手をかける)

ユトル  壁に近づいて見てみるとしよう。落ち着け、イブンサフ。わしらは人質を取られておるかもしれんのだ。

GM  「なんだと!小娘!ごちゃごちゃ言ってないで、そのガキを渡せって言ってるんだよ!」店の外までだみ声が聞こえてきますな。

ユトル  様子は見える?……ん、なんか話は早そうだな(笑)

GM  「てめぇ、痛い目にあいたいってのか?いい加減にしねぇと……怒るぞ俺はっ!」扉の隙間からのぞくと、見るからに柄の悪そうな男がシュナに向かって凄んでいるぞ。

ユトル  暇はないな。ドアを開けよう。

GM  シュナは震えながらも男を方を見据えて視線を外さない。両手を広げて背後の幼い子供をかばっているようだ。

ユトル  (軽く杖を突いて歩み寄る)「これ、わしの弟子に何か用かな? 若いの」

GM  シュナ「お爺ちゃん!」

ユトル  シュナ、一体どうしたことじゃ。(男との間に入ろう)

GM  荒くれ「あ?なんだてめぇは?」

ユトル  儂はこの娘の師よ。話を聞かせてくれ。

GM  シュナ「あのおじさん、この子をいじめてたのっ!」子供を抱きかかえてます。

ユトル  「若いの、子供を虐げるのは感心せんな」 こいつ知ってる?

GM  荒くれ「俺はそのガキに用があるんだよ。さっさと渡せや」

ユトル  「この子がお前さんに何をしたというのじゃ。その剣幕では渡せんな」助さん、少し灸を据えてやりましょうか(笑)

GM  荒くれ「うるせぇ!渡せっつったら、渡しやがれ!」

GM  シュナ「絶対に駄目なんだからっ!」

イブン  (ずい、っと男の前に出て、見下す)「・・・落ち着いて話し合おうといってるのだ」

ユトル  「ここでは店に迷惑がかかるな、表で“話”を聞こうではないか(親指で玄関口を差す)

GM  荒くれ「のけろっ!」ばしんっ!、シュナを弾き飛ばして子供に手を伸ばそうとします。



さて、本日三度目の戦闘です。

行動順はユトル、男、イブン。



ユトル  男は武器持ってる?

GM  武器は……腰に剣をぶら下げてるぞ。まだ抜く気配はないけれど。ちなみに見るからに頭は悪そうだし、動きも鈍いけど、力だけはありそうだ。あたると1Dの叩きくらい痛いぞ



ユトルはこのターン魔法に集中、イブンサフは素手で殴りかかります。

一方、男は目の前にいるユトルに殴りかかります。



GM  命中!男の拳がユトルに当たりかけてる。「爺はすっこんでろっ!」ぼこっ!

ユトル  避けを試みる。……失敗。殴られたよ(笑)

GM  魔法で避けろよ(笑)

ユトル  《瞬間回避》で避けるのは容易いが、それではシュナの前に立つ者がおらんようになる。



荒くれ男の拳がユトルにめり込みます。

しかし……。



ユトル  堅き<<モゥカット>>(←ユトルの作った魔法のライトレザー)で3点食い止めて0点のダメージ、止まってるわ(笑)「何、口ほどにもない(切れた唇を拭ってにやりと笑う)」意志力判定も成功、呪文の集中は乱れない。

GM  シュナ「お爺ちゃんっ!」殴られたのを見て悲鳴を上げてます。

イブン  ……俺より硬い!(笑)

GM  イブンはどうする?フェイントソードでぶった切るのは簡単そうだけど…?

ユトル  なるべく拳だけで片付けろよイブンサフ……。



イブンと男の拳がお互いを捉えます!



GM  荒くれ「…いてぇな。いきなり何しやがるっ!次から次へと……関係ない奴らはすっこんでろ!」



しかし、お互いに決定打は決まりません。

そして。



GM  荒くれ「て、てめぇら……いい加減にしねぇと」こめかみに青筋浮かべて、剣に手をかける。準備技能がないから剣を抜いて終わり、だけど。「てめぇら!こいつが見えるか!ぶった切られたくなったらさっさと消えろ!」

ユトル  これはまずい。しかし次のターンの最初にわしの魔法がかかるな。

イブン  「足止めはしたからな・・・後は頼むぞ」



次のターン、ユトルの成功度6にも及ぶ魔法が炸裂し、男は思考能力をなくしてしまいました。

抵抗できるか!そんなもん(笑)



GM  荒くれ「これが見え、見え、み……」男はぼうっとなってしまいました。あっけないけど、こんなもんか

ユトル  「ふふ…」

GM  シュナ「やったぁ!お爺ちゃんすごいっ!」



男は取り押さえられ、縛り上げてから我に返る。



GM  荒くれ「な、な、な?!なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!くそっ!縄を解きやがれ!」じたばたじたばた。

ユトル  さて、実はここからが問題じゃな。 子供に向き直る。なるべく優しく話しかけるよ。「一体何があったのじゃ、儂に話してみなさい」

イブン  「シュナ、よく頑張ったな。君も」(二人に飴を差し出そう)

ユトル  「怖かったよぅ…(見上げて)あ、ありがとうお兄ちゃん(にっこり)」ってところだな

GM  子供「ぼく、何も悪いことしてないよ?」

ユトル  「ふむ、どういうことじゃろうな…」

GM  シュナ「そうよね。何も悪いことなんてしてないわ」頭をなでなで

ユトル  ちと探ってみるか。なんとなくぼやっとしてる男に《精神探査》をかけるよ。(イェーカー(杖)を頭に当てて)探らせてもらうぞ。ありゃ、成功度2だ。

イブン  おお、出た。サイコメトリー。



精神探査はその名の通り、相手の心を探る魔法である。

抵抗に失敗した場合、掛けられた者は全ての質問に正しく答える羽目になる。



GM  子供「このおじさん、おいしいもの食べさせてくれるって言ってたの。でも、僕聞いちゃったんだ」

ユトル  ん?(振り向く)

GM  子供「真っ黒な服の人と話してたんだ。僕たちのこと1000ムーナで売るって」ちなみに男に対する魔法も成功しておりますな。

イブン  「・・・・むぅ」

ユトル  じゃあ、まず「人買いの元締め(?)の名前」を教えてもらおう。黒い服のな。

GM  名前はラドック・バルナー。

ユトル  質問2「ラドックの居場所は?」

GM  大通りにあるバルナー商会、武器関係の店だね。とかやってると……「騒ぎがあったのはここか!」

ユトル  少し息をついて、杖にもたれるように椅子に腰掛けてるよ。

GM  ガヤン神官「こいつですか?暴れてたのは」

ユトル  ガヤン神官かな?

イブン  「ご苦労様、だ。後は彼らに任せよう」

ユトル  よくきてくれた神官殿。こやつはどうやら人買いの一味のようじゃ(杖で示す)。



ガヤンとは法と契約の神。

一般的なガヤン信者というのは法の番人である。

……平たく言えば警察みたいなもの。

だから、騒ぎがあれば呼び出されるわけである。



ユトル  (尤も、汚職は常。儂はガヤンを頭から信頼するほど幼愚でもないがな)

GM  ガヤン神官「ええっ!?人買いの一味!?」

ユトル  証言はそこの少年から取れる。バルナー商会のラドックから金をもらっておったそうじゃ。 ユトルを信用するかどうかは、反応判定でも何でもしてくれ(笑)

GM  ガヤン神官「なんと……これは調査が必要ですね。おい、こいつを連れて行け!」

GM  ガヤン入信者「はいっ!さあ、こい!」というわけで男はしょっ引かれていきました。

GM  ガヤン神官「ご協力感謝します。かならず人買いの一味を一網打尽にして見せます。あなたの名前はうえのものに協力者として報告しておきますよ」そういって去っていきました。

ユトル  シュナ、災難じゃったな。よくやった。 ……ラドックってどんな奴なの? 評判とか。ちなみに《地域知識》なら取ってる。

GM  あんまり良くはないよ。ちなみにこの後ガヤン神殿の手が入って商会ごと、あっさりつぶれてしまいます(笑)

イブン  まあ、証拠なしで踏み込めないけど、ずっと張って立てところだろうか?



エンディング、数日後




数日が過ぎました。

例の子供はユトルの工房で過ごした後、サリカ神殿のほうで面倒を見てもらえることになりました。



ユトル  あぁ、孤児だったのか…。



サリカは豊穣の女神であり、癒しも司ります。

信者たちは行き場のない孤児などの面倒を見てくれたりもするのです。



GM  そして、バイカン工房に伝令ギルドのミュルーンがやってきました。

ユトル  おや、客じゃな。あ〜、呼び鈴の魔化アイテムでも作っておけばよかったな。

イブン  あったところで、工房から出てくるとも思えないが・・・?



ミュルーンというのは鳥人間(イメージはドナル○・ダック)である。

鳥といっても、飛ぶより走るほうが得意だったり。

俊足を持つ彼らは伝令ギルド(郵便配達)に所属していることが多いのだ。



GM  ミュルーン「あ、ここや、ここ。サインしてや〜」シュナ「お爺ちゃ〜ん。なんか届いてるよ〜。えっと……ガヤン神殿からみたいだよ」

ユトル  シュナ、サインしてやりなさい。……ふむ(がさごそと開封)

GM  「ユトル・バイカン殿、先日のご協力大変感謝しております。……以下略(笑)」感謝状くれるってさ。

ユトル  (少し笑う)シュナ、その手紙、丁重に仕舞っておきなさい(笑)

GM  シュナ「わっ!お金ももらえるって〜!ねぇねぇ!そのお金でご飯でも食べに行こうよ!ねぇ!」

ユトル  仕方のない奴じゃ。では後で『人魚の竪琴』亭にでも行くかな(よっこいしょ)これ、イブンサフ。お前も行くぞ。

イブン  「ああ。すぐに店を閉めて準備しよう」

GM  かくしてイリスの街はほんのちょっとだけ、平和になったのでした。終幕〜。



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