魔術師の重奏曲(ユヴァリーフ・カルテット)
〜古き楔の軋む時〜



後書という名の戯言
「書かれなかったエンディング」




 その日、1つの街が滅びた。

 イリスの上空に飛来した巨大な悪魔は全てを焼き尽くし、彼方へと飛び去った。



 そして、5年の月日が流れた。



「なあ、シュナ姉……本当に行くのか?」

 ウィルは旅装束に身を包んだ魔術師、シュナに問う。

「ご免ね、もう決めたんだ」

 5年前の戦いで生き延びることが出来たのは、避難していた彼女達だけだった。

「もう5年だぜ。今更……それにあの悪魔が何処にいるか」

「確かに今更かもしれない。でもね……お爺ちゃん達の仇を討たない限り、私は先に進めない」

 そう言ってシュナは唇を噛む。

「しかたねぇなぁ。んじゃ、行くとしますか」

「ウィル君?」

「シュナ姉は魔術師、壁役が必要だろ?ちょうど良い事に俺は戦士、しかも結構腕が立つ」

「……手伝って、くれるの?」

 シュナの視線にウィルは照れた様に鼻の頭をかいた。

「シュナ姉1人じゃ、危なっかし過ぎらぁ」



 かくして、魔術師シュナと戦士ウィルは旅立った。

 今、悪魔との戦いが再び始まろうとしていた。



……PCが全滅していた時に予定していたエンディングである。

敗れ去ったPC達の仇を討つため、成長した少女と少年が旅に出るという話。

そこ、ジャ○プの打ち切りエンドみたいとか言わない(笑)



さて、ここで分岐についてのネタばらしをちょこっとだけ。

ラスボスのパターンとしては他に、シャザック、アレフ、熱獄のイルゼ、というのがあり得ました。

それぞれの分岐ポイントは以下の通り。



「革命の終わり」

 ラスボス、シャザック。

 条件、アレフの復活を止めている事。

 悪魔などは登場せず、革命を止めるエンディング。

 物語の根本的終了にはならないが、ある意味一番平和な終わり方かもしれない。



「戦火は途絶えず」

 ラスボス、アレフ。

 条件、イザベラを事前に倒すこと。

 アレフを倒し、ミリアを助けたところでエンディング。

 どさくさにまぎれてシャザックが逃亡するので、戦いはまだまだこれからだ……な、エンド。



「魔女の最期」

 ラスボス、イルゼ(悪魔化したイザベラ)

 条件、シャザックを改心させた上でアレフを倒す。イザベラを事前に倒していないこと。

 全ての黒幕であるイザベラを倒し、妖将は復活しないエンディング。

 情報部の人間までもが救われる、ハッピーエンド。



「終焉、全ては壊れ滅び去る」

 ラスボス、完全体ヴェルゼ

 条件、アレフを完全に破壊した状態でシャザックを絶望させる。

 結界無しで復活した妖将を相手取ることに。

 勝利すれば、今回と同じエンディングだが……おそらく倒すのは不可能。



そして、もう一つ。

リプレイ本編では少々分かりにくかったであろう、イザベラの目的などを解説。

彼女の目的は『黒き月へ至る事』である。

その為に大きな力を確保する必要があった。

彼女が選んだ方法は古の悪魔を復活させること。

それも、ただ復活させるのではなく最高の肉体(シャザック、もしくはPC3名のうちの誰か)を与えて復活させる、という方法。

計画の第一段階としてシャザックを唆して封印の要となっている聖鎧を封印の魔法陣から動かした(あわよくば、PCによる聖鎧の破壊も狙っていた。聖鎧が破壊されれば、復活した悪魔への対抗手段が失われる)訳である。

第2段階ではPCを使ってシャザックを追い込み、より強い力を渇望するように仕向けたのだ。

ちなみにサヤが裏切ったのは、イザベラがシャザックを生贄(悪魔の寄代)にしようとしている事を知ってしまった為だったりする。

サヤはシャザックを守りたかったのだ。



今回、PC達が辿り着いたエンディングは全員が(サヤ死亡、シャザックが悪魔に喰われた、など)幸せとはいきませんでした。

しかし、物語の最も根本部分まで踏み込んだ、トゥルーエンドとも呼べる代物です。

良くぞ辿り着いたものだ。

GMは今、プレイヤー諸氏に拍手を惜しみなく送りたいと思います。



『お疲れさん!良いもの見せてもらったよ!』



それでは彼らが掴み取ったエンディングをご覧ください。



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